著者
今村 栄次 山下 拓史 福原 敏行 長嶋 和郎 郡山 達男 時信 弘
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.172-178, 2009 (Released:2009-05-13)
参考文献数
15
被引用文献数
6 7

症例は76歳女性である.発語の減少,意欲低下で発症し,意識障害の進行と平行して両側耳介腫脹が出現した.発熱,項部硬直をみとめ,髄液細胞数,蛋白,IgG indexの上昇,頭部MRIで進行性の大脳白質病変と脳萎縮をみとめた.耳介軟骨生検の病理所見から再発性多発軟骨炎(RP)と診断した.意識障害と炎症所見は,ステロイド治療にて一時的に改善したが,ふたたび増悪し,多剤による免疫抑制療法をおこなったが改善しなかった.剖検脳では,軟膜および脳実質の血管周囲にびまん性のリンパ球浸潤と炎症性髄鞘破壊をみとめた.RPに関連した髄膜脳炎の剖検例はきわめてまれであるが,病変の主座は炎症性血管周囲炎であることが示唆された.
著者
松浦 大輔 大下 智彦 永野 義人 大槻 俊輔 郡山 達男 松本 昌泰
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.191-195, 2008 (Released:2008-04-15)
参考文献数
20
被引用文献数
7 8

症例は63歳男性である.47歳時に関節炎と皮膚潰瘍を発症し,血管炎をともなう慢性関節リウマチ(悪性関節リウマチ)と診断され,プレドニゾロンとシクロスポリンAの内服治療を受けていた.今回,頭痛,痙攣を主訴に来院し,リンパ球優位の髄液細胞数増多,頭部MRIで左大脳半球の脳表に限局した病変をみとめた.病変部位はFLAIR画像にて高信号を呈し,病変の一部は拡散強調画像でも高信号を呈した.ステロイドパルス療法をおこない,症候,検査所見とも改善した.リウマチ性髄膜炎はまれな疾患であるが,一側テント上に限局する軟膜病変を呈しやすく,本例ではFLAIR画像と拡散強調画像の併用が病変の経時的な評価に有用であった.
著者
西谷 美智恵 森野 豊之 松岡 直輝 野村 栄一 宮地 隆史 丸山 博文 郡山 達男 三森 康世 松本 昌泰 仲 博満 梶川 博
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.2424-2426, 2004-11-10
被引用文献数
3 4

症例は26歳,女性. 2年前より左方への頸部回旋時に失神様めまい発作が出現した.頸部血管超音波検査にて右椎骨動脈が左方への頸部回旋時に狭窄または閉塞を生じていることが明らかとなり,頭部MRAの検査結果と併せてbow hunter's syndromeと診断した.頸部血管超音波検査による脳循環病態のダイナミックな評価が,スクリーニングおよび補助診断として有用であったと考えられた.
著者
瀬川 亜希子 大下 智彦 三好 美智恵 越智 一秀 大槻 俊輔 郡山 達男 松本 昌泰
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.97, no.11, pp.2794-2796, 2008-11-10

ムコ多糖症は,通常ほとんどが乳幼児~青年期に肝脾腫,ガーゴイル様顔貌,臍ヘルニア,関節拘縮,巨舌等の所見により診断される.今回,50歳代で初めて撮像した頭部MRIで,多数の血管周囲腔拡大像などの特徴的な所見によりムコ多糖症を疑われScheie病の診断に至った姉妹例につき,鑑別診断上の意義を含め報告する.<br>