著者
西野 真佐美 中森 正博 今村 栄次 小川 加菜美 黒瀬 雅子 平田 明子 三森 康世 若林 伸一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.424-429, 2019-07-25 (Released:2019-07-27)
参考文献数
12

時計描画テスト(Clock Drawing Test; CDT)は,検査に対する抵抗が少ないため認知症スクリーニングとして頻用されている。今回,CDTのスコアリングを行いその有用性を検討した。2016年10月~2017年4月に当院外来にてCDT,ミニメンタルステート検査(Mini-Mental State Examination; MMSE)ともに実施した,連続156名で検討した。スコアリングはFreedman法(15点満点)を用い2名で判定した。年齢78.2 ± 8.7歳,女性87名,診断はアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease; AD)54名,レビー小体型認知症(dementia with Lewy body; DLB)6名,血管性認知症12名,混合型認知症15名,その他の認知症16名,軽度認知障害16名,認知機能正常者37名であった。CDT総得点とMMSEは有意な相関がみられた(r = 0.58, p < 0.001)。ROC解析では,CDT総得点に関して認知症とのカットオフ値11/10(感度50.5%,特異度96.2%,AUC 0.78,p < 0.001)であった。CDT下位項目で検討すると,ADでは針の記入で,DLBでは数字の記入で失点する傾向がみられた。CDTのスコアリングはMMSEを併用して行うことで感度を上げることができ,MMSEと有意な相関がみられ評価の妥当性が示された。また,疾患によって失点パターンに差異がみられることから診断の一助になりうる可能性が示唆された。
著者
山田 美智子 笠置 文善 三森 康世 宮地 隆史 大下 智彦 佐々木 英夫
出版者
一般社団法人 日本放射線影響学会
雑誌
日本放射線影響学会大会講演要旨集 日本放射線影響学会第51回大会
巻号頁・発行日
pp.267, 2008 (Released:2008-10-15)

背景と目的:胎児期に被爆した被爆者では小頭症や知的障害等の神経系への影響が認められる。今回、広島成人健康調査集団の被爆時年齢13歳以上の原爆被爆者とその対照において、原爆被爆が認知機能や認知症の発症に影響したか否かについて調査した。 方法:対象者は1992年の調査開始時に年齢60歳以上で認知症を認めない2286人である。認知機能は認知機能スクリーニング検査(CASI)を用いて評価した。認知症の診断は認知機能スクリーニング検査と神経内科医による神経学的検査の2段階法を用い、人年法により線量階級別の粗発症率を求めた。原爆被曝の認知症発症への影響の評価には他のリスク要因を考慮してポワソン回帰分析を用いた。放射線治療による被曝情報は病院調査と問診調査から得られた。 結果:認知機能は加齢と共に低下し、低学歴で低かったが、被爆時年齢13歳以上の原爆被爆者では認知機能に被爆の影響は認められなかった。約6年の追跡期間中に206人が新規に認知症を発症した。60歳以上の1000人年あたりの粗認知症発症率は15.3(男性12.0、女性16.6)であった。被爆線量別の1000人年あたりの発症率は被爆線量5mGy以下、5-499mGy,500mGy以上で各々16.3、17.0、15.2であった。いずれの被爆線量群でもアルツハイマー病が優位な認知症のタイプであった。ポワソン回帰分析の結果、全認知症ならびにタイプ別認知症において、他のリスク要因を調整後に被爆の影響は認められなかった。対象者の内、68人がこの調査以前に放射線治療を受けていたが、認知症を発症したのは2人にすぎなかった。 結論:原爆被爆者の縦断的調査において認知機能ならびに認知症発症と放射線被曝の関連は認められなかった。
著者
西谷 美智恵 森野 豊之 松岡 直輝 野村 栄一 宮地 隆史 丸山 博文 郡山 達男 三森 康世 松本 昌泰 仲 博満 梶川 博
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.93, no.11, pp.2424-2426, 2004-11-10
被引用文献数
3 4

症例は26歳,女性. 2年前より左方への頸部回旋時に失神様めまい発作が出現した.頸部血管超音波検査にて右椎骨動脈が左方への頸部回旋時に狭窄または閉塞を生じていることが明らかとなり,頭部MRAの検査結果と併せてbow hunter's syndromeと診断した.頸部血管超音波検査による脳循環病態のダイナミックな評価が,スクリーニングおよび補助診断として有用であったと考えられた.