著者
松本 明日香 小川 一美
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.28-41, 2018-03-30 (Released:2018-04-18)
参考文献数
36
被引用文献数
4 5

本研究の目的は,大学で専攻する学問に対して,どのような価値を求めるのか,どのような価値評定をしているのかという専攻学問に対する価値と,大学教育を通じて培うべき力である批判的思考力との関連を探索的に検討することであった。批判的思考力として,質問力,質問態度,クリティカルシンキング志向性を測定した。専攻学問に対する価値を第1群,批判的思考力を第2群として正準相関分析を行った結果,以下の2点が示された。1点目は,専攻学問に対する4つの価値全てが高いと,質問態度やクリティカルシンキング志向性が高くなり,事実を問う質問数も多くなるという結果であった。2点目は,専攻学問の学びは他者から見て望ましいと思われているという価値である公的獲得価値は高いが,専攻学問は充実感や満足感を喚起する学問であると思うという興味価値が低いと,事実を問う質問数は多くなるが,クリティカルシンキング志向性および思考を刺激する質問数に負の影響を与えるという結果であった。専攻学問に対して価値を見出すことは,批判的思考力の獲得に有効な要素であることや,複数の価値を組み合わせて効果を検討することの意義などが考察された。
著者
松本 明日香
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2009

まず、1976年米国大統領選挙に関して、昨年度収集した米国公文書館の外交文書などをもとに分析結果の一部を論文「フォード大統領東欧発言の形成過程-1975年ヘルシンキ協定と1976年米国大統領テレビ討論会から-」として纏めて『国際公共政策』に上梓した。次に、比較対象として、1960年米国大統領選挙の第4回キューバ侵攻計画を扱うために、アイゼンハワー大統領とニクソン大統領図書館にて調査に行った。二者における関係性を平成24年6月には『アメリカ学会』にて「公開討論会と外交機密-1960年第4回、1976年第2回米国大統領候補者テレビ討論会の対照比較-」と題して報告することが決定している。最後にこれまで研究してきた政治テレビ討論会をベースに米国の状況をより客観的に分析するために各国制度比較を行っている。NHKアーカイブスにおいて、日米の討論会を比較検討する『政治テレビ討論会と国家指導者像の変遷-日本党首討論会と米国大統領討論会』の研究を進めている。これまでの資料館調査を元に、平成24年4月24日に『日本アーカイブズ学会』で「テレビ政治討論会のアーカイブズ-日・英・米を比較して-」を報告することになっている。また政治スピーチの分析手法を精査するため、これまでの質的に分析に加えてコーパスによる量的分析も行った。自然言語処理を専門とする吉田光男との共同研究を行い、『日本政治学会』において「国家指導者のTwitterレトリック-バラク・オバマと鳩山由紀夫の対照比較-」のポスター報告を行った。これまでの質的分析をある程度裏付ける結果を出すことに成功した。さらにこれまで扱ってきたテレビと、近年のウェブにおける政治言説の差異と継続も吟味できた。