著者
小形 真平 松浦 佐江子
出版者
日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータ ソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.2_14-2_32, 2010-04-27 (Released:2010-06-27)

業務システム開発では,顧客と開発者の間の要求の誤解,顧客の暗黙的要求の存在,開発者の要求の誤った仕様化を原因として,要求仕様の品質が低下する問題がある.そこで,顧客が妥当性を確認した要求分析モデルによるシステム開発手法の確立を目的として,業務系Webアプリケーション開発を対象に,UML要求分析モデルからWeb UIプロトタイプを自動生成する手法を提案する.本研究では,業務を構成する業務遂行手順および業務データをそれぞれ,サービスを構成するユーザとシステムのやり取りおよびやり取り中の入出力データとみなす.そして,この振舞いとデータの観点から,アクティビティ図・クラス図・オブジェクト図を用いて要求分析モデルを定義し,要求分析モデルの妥当性を確認するためのHTML形式のUIプロトタイプを生成する.本稿では,複数の適用事例を通して提案手法の有効性について議論する.
著者
松浦 佐江子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.8, pp.2578-2595, 2007-08-15
参考文献数
16
被引用文献数
13

Java やUML をはじめとするオブジェクト指向によるソフトウェア開発技術は多くのIT 企業から注目され,ソフトウェア開発技術者の育成が大学に求められている.産業界の求めるソフトウェア開発技術者を育成するためには,講義や簡単な演習のみではなく,ソフトウェア工学の知識を活用して様々な場面における問題解決能力を養うための実践的なソフトウェア開発を経験する必要がある.このようなPBL(Project Based Learning)は学生が講義で得た知識を活用しながら主体的に問題解決を行う力を養う効果があることから,近年注目されている.しかし,大学学部教育において実践的なソフトウェア工学教育を行うためには,前提知識となる科目の教育,適切な課題設定,評価方法も含めた学生自身が遂行可能な授業設計とその支援環境の構築といった問題を解決する必要がある.我々は2002 年度より,学部3 年生を対象に後期の授業として,オブジェクト指向開発を用いたグループワークによるソフトウェア開発実習を実施している.本実習は半期をかけてある程度複雑なシステムを8 人から10 人程度のグループで開発するソフトウェア開発の全工程を体験するPBL である.本稿では,我々の実践的なソフトウェア工学教育を行ううえでの問題に対する取り組みを紹介し,5 年間の適用結果に基づいてその有効性について議論する.Software development technology, especially both Java and UML started to attract wide interest of many IT companies. Moreover, it has been widely acknowledged that classes designed by utilizing PBL (Project-Based Learning) are effective in enhancing the problem-solving ability of university students. In PBL-based classes, students try to apply their knowledge to solve the problems by themselves; therefore, such classes are effective in improving problemsolving and communication abilities of students in software development. To conduct practical software engineering experiments, a plan of the experiment needs to be devised on four perspectives (education of prerequisite knowledge, selection of appropriate topics, a class design including assessment methods for grading students and computer supported environments). Since 2002, we have been planning and conducting group-work-based software development experiments as an approach to PBL. The aim of this class is to master software development and project management technologies based on Object Oriented Development. With a group of 8 or 10 students, a moderately complicated software system can be developed over half a semester. This experiment aims at educating undergraduate students to develop the faculty to become able software engineers. This paper describes the design of our practical software engineering education based on the experiment.
著者
上河内 頌之 松浦 佐江子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ET, 教育工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.364, pp.37-42, 2006-11-11

プログラミングではソースコードを作成し、動作の確認のためテストを行う必要がある。だが従来のプログラミング演習では、ソースコードの作成に重点が置かれており、テスト方法の学習が十分に行えていない。学習者自身で十分にテストを行えるようにするため、Java言語を対象に『テストするメソッドの決定、テストデータの作成、テストプログラム作成と実行』の3フェーズで定義した単体テストプロセスに対するテスト方法学習支援を提案する。また学習者に対し、より効果的な学習を提供するため、学習者自身でチュートリアル実行など各フェーズの支援内容を変更出来るテスト方法学習支援ツールを開発した。
著者
古宮 誠一 今泉 俊幸 橋浦 弘明 松浦 佐江子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告ソフトウェア工学(SE)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.5, pp.1-8, 2014-03-12

プログラミングの初学者にとって,プログラムの記述から,そのプログラムの挙動を思い描くことは難しい。その原因は,初学者がプログラムの実行を制御する構文の記述内容が変わるとプログラムの挙動がどのように変化するかということを理解できていないからだと考えられる。そこで著者らは,制御構文と再帰関数を採り上げ,これらの構文の記述内容によってプログラムの挙動がどのようになるか,プログラムの挙動を可視化するシステム AZUR を開発した。そして,AZUR をプログラミングの演習授業に導入し,学生達が使用した結果を分析することにより,AZUR の可視化機能がプログラミングの学習に有効であることを示している。It is difficult for beginner programmers imagine how a program does behave. It is thought that the cause is because beginners cannot understand it how the behavior of the program changes when control statements (e.g. if-statement, while-statement, switch-statements) are changed. Therefore they focused on control statements and recursive function, and developed system AZUR which visualized the behavior of the program. And they introduce AZUR into a programming class and verified that a visualization function of AZUR is effective for learning of the programming by analyzing the result that students used.
著者
奥田 博隆 小形 真平 松浦 佐江子
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. KBSE, 知能ソフトウェア工学 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.468, pp.73-78, 2011-03-03
被引用文献数
1

我々はUML要求分析モデルからWebUIプロトタイプ自動生成手法を提案してきた.しかし,業務ロジックの記述方法が開発者に依存し,非定式的に定義される為にサービスの実現可能性が保証されない.そこで,本研究では,クラス図及びアクティビティ図より構成されるUML要求分析からデータライフサイクルの検証を行うことで業務ロジックの妥当性を確認でき,実現可能性を検証する機能型プロトタイプの自動生成する方法を提案する.
著者
松浦 佐江子
出版者
芝浦工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

本研究では、ソフトウェア開発の全工程において、プロダクトおよびプロセスの妥当性検証方法を取り入れたオブジェクト指向開発技術の学習方法およびその評価方法を研究し、これらの方法に基づいたPBL (Project Based Learning)によるソフトウェア開発実習を最終ターゲットとしたカリキュラムならびに授業設計をJavaおよびUMLといったオブジェクト指向開発技術に基づき実施した。
著者
松浦 佐江子 本位田真一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.2666-2680, 1995-11-15
被引用文献数
2

われわれの研究目的は仕様が変更された場合に、プログラムの作成プロセスを利用して既知のプログラムを修正し、変更要求を満たすプログラムを作成する方法を確立することである。われわれは広範囲言語Extended MLを用いた仕様・プログラム・プロセスを統一的に扱う枠組の上で仕様変更プロセスを形式化し、系統的な再利用方法を提案してきた。仕様変更プロセスは既知のモジュールから仕様変更の要求を満たす新しいモジュールを作成する仕様の差分定義プロセスと、プログラムを作成した過程である合成プロセスをまねるプロセスから成る。しかし、仕様変更は各々が独立に行われた複数の経験によって達成されることが多いので、一つのプログラム作成のプロセスをその都度利用するだけでは再利用の効率が良くない。また、過去に行った仕様変更と同様な仕様変更を行ってプログラムを得たい場合もある。本稿ではわれわれの提案した再利用方法を拡張し、複数の仕様変更プロセスを効果的に利用した仕様変更の実現方法を提案する。このような知識の積み重ねを支援するソフトウェァ開発環境を構築することによって、仕様変更に追従するプログラムの自動合成への道が開けると考える。