著者
松澤 和光 阿部 明典 笠原 要 金杉 友子
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.224-225, 1997-09-24

「言霊(ことだま)」-古来より日本人は言葉の持つ不思議な力/能力をそう呼んで, 敬い, 大切に扱ってきた。日本語には同音異義語や, 音の組み合わせだけで意味をなす擬音語/擬態語の類が多い。また, 漢字という表意文字を使用することによって, 音のみならず視覚的に何かを訴えることのできる言語てもある。日本語はまさに「とほうもない可能性を有する天才」といえるだろう。その天才ぶりを証明するかのように, 日本には日本語の特性を利用した「言葉遊び」的なものが数多く存在する。古くは短歌の中に見られる表現技法から, 今日においてもよく見られる「しりとり」 「回文」まで, その在り様は多岐をきわめる。しかし, 昨今の科学技術文明の中, テレビ等の映像メディアの出現て, 我々現代人はこうした「言葉に対する敬虔な気持ち/ゆとり」を失って来つつあるように思われる。さて, 時代はまさにネットワーク&マルチメディア社会へ突入しようとしている。この人類が未経験の新世界の入り口に立って, 人々はある種の戸惑いや恐れを感じているのてはないか。こうした心理的障壁を取り除ぎ, 人々が科学技術と調和した豊かな社会生活を創り出していくためには, 新時代にふさわしい新しい「言葉遊び」の文化を創世していくべきではないか。当研究所では, 人と人の豊かなコミュニケーション社会を実現するため, 「言葉を工学的に取扱う技術」について研究してきた。この成果の1つの応用として, コンピュータに人間と同じような言葉遊びをさせることに成功した。この技術を利用すると, ネットワークを通じてコンピュータや見知らぬ人と色々な言葉遊びを行なえる。そこで, こうした言葉遊び文化の発展と, 技術的成果の新たな適用性を探るため, 首葉を扱う技術を利用した新しい「言葉遊び」のアイデアを, ネットを通じて募集するコンテストを開催した(図1)。このコンテストと募集結果について技術的に考察する。
著者
笠原 要 松澤 和光 石川 勉
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.38, no.7, pp.1272-1283, 1997-07-15
参考文献数
26
被引用文献数
99

人間は,単語の意味を表す「概念」間の類似性を,その単語が扱われる文脈や状況の変化に応じて柔軟に判別する.本論文では,属性とその重みより構成した概念の知識ベース(「概念ベース」)を用い,文脈や状況等を表現する単語(「観点」)を指定したときに,観点に応じて概念間の類似性を判別する方法を提案する.この方式は,概念どうしの類似性判別を行う前に,概念中の属性の重みを観点に基づいて強調することを特徴とする.概念ベースは,まず国語辞書等の語義文から自立語の出現頻度に基づいて属性とその重みを獲得し,次いで得られた概念ベースの自己参照による新たな属性の追加,および不要な属性の統計的な除去からなる精錬を行うことによって,完全に機械的に構築した.実際に作成した約4万の日常語に関する概念ベースで方式評価を行った.この結果,提案の類似性判別方式がシソーラスを用いる従来の方式に比べて有効であり,また,この判別において観点が効果的であることを明らかにした.We propose a method for measuring the semantic similarity berween words using a largescale knowledge base that is automatically constructed from machine-readable dictionaries and is self-refined.This method of measuring similarity takes into consideration the fact that similarity changes depend on situation or context,this is what we call a 'viewpoint.'A feature of this method is that certain parts of the overall concept of measured words,compared with each other,are emphasized by using the viewpoint when calculating the degree of similarity.An experimental knowledge base,which contains knowledge of 40,000 Japanese daily-used words,was employed in order to evaluate the proposed method of measurement.The similarity measurements with the proposed method were closer to those decided by human judges than were similarity measurements made using the conventional way of using a thesaurus.Moreover,it was found that consideration of the viewpoint was effective when measuring the semantic similarity.
著者
藤本 和則 賀沢 秀人 佐藤 浩史 阿部 明典 松澤 和光
出版者
社団法人人工知能学会
雑誌
人工知能学会誌 (ISSN:09128085)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.61-64, 2000-01-01
被引用文献数
8

Decision Support for Internet Users, Called DSIU, is an area of research for providing decision support for Internet users by using information on the Internet. DSIU aims to provide decision support with logicalexplanation taking account of user's preference. By using information extraction techniques, DSIU handles the names of various substances, e.g., electronic products, persons, and places, and so on, and constructs the explanations in terms of their properties. This paper describes the DSIU particularly form a viewpoint of realizing the DSIU and giving contributions to society in the near future. The information of DSIU is available at http://www.kecl.ntt.co.jo/DSIU/.
著者
松澤 和光 飯田 敏幸 松田 晃一 今井 賢一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.155-156, 1996-09-04
被引用文献数
1

個人がネットワークを通じて膨大な情報を扱えるようになりつつあるが、真に自分の望む情報を手に入れるのは簡単なことではない。そもそも望む情報が何であるかさえハッキリしない場合も多い。このため、検索対象を明確に指定する従来法に代わって、対象が漠然としていても柔軟に検索が行える新しい方式が必要とされている。こうした要求に応えるため、検索を進めながら対象を明確化する「想起型情報検索方式」を提案した。本稿では、この提案を実現するための具体的な機構として、NTTが開発した「概念ベース技術」を利用する方法を述べる。また、この機構を使った新聞記事の検索システムについて、その基本構想を述べる。
著者
飯田 敏幸 松澤 和光 松田 晃一 池原 悟 石野 福弥 今井 賢一
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.153-154, 1996-09-04
被引用文献数
1

印刷物やインターネットを通じて提供される情報の量は日々増加し,我々人間が利用できる能力をはるかに越えている.そこで,必要な情報を適切に,しかも簡易に選択できるための新しい情報検索システムが必要である.今迄,情報検索のためのシステムが多数開発されてきたが,余り使い易いものではなかった.情報検索システム(ここでは文献検索システムを想定する)の利用の仕方には以下に示す各種のレベルがある.【レベル1】文献の題名,あるいは,文献を特徴付けるキーワードが分かっている.【レベル2】題名,キーワードは明確ではないが,探したい対象は明確である. 例:こんなことが書いてある.【レベル3】対象が漠然としている. 従来の情報検索システムでは,いくつかの質問キーワードの羅列,あるいは,それぞれに重みづけがされた論理式を利用者が与えなければならなかった.即ち,従来の情報検索システムは,レベル1または2の利用者を前提としていた.そこで,レベル3の利用者も同じインタフェースで利用しなければならず,これが使いにくさの原因の1つである.また,キーワード方式の従来の情報検索システムでは,システムに入力する質問キーワードの個数が少ないと,検索対象の絞り込みが十分にはできないために,検索の効率が落ちてしまう.そこで,検索効率向上のためには,沢山のキーワードが必要となるが,人手で沢山のキーワードを指定するには限界があるという問題がある.