著者
松田 和之
出版者
福井大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2014-04-01

コクトーの文学・芸術について考察する上で重要な手掛かりとなるのが、彼が晩年の12年間に書き残した厖大な分量の日記で構成される『定過去』だが、そこでは、「空飛ぶ円盤」や「前衛考古学」など、いわゆる「オカルト」として学問的な考察の対象から除外されがちな話題が数多く取り上げられている。本研究において、その背景を慎重に探った結果、エメ・ミシェルをはじめとする在野の若い学者たちとの交流を通じて現代物理学に異議を唱える「超科学」の思想に共鳴したコクトーが、UFOや超古代文明の存在を肯定的に捉える彼らの思想で以て自らの時間観・死生観を理論武装しようとした可能性を指摘するに至った。
著者
松田 和之
出版者
福井大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011-04-28

反カトリック的な思想の持ち主であると見なされていたジャン・コクトーは、最晩年にカトリックの礼拝堂4堂の全面的な装飾を手がけている。本研究の目的は、それらの礼拝堂の壁面に描かれた不可解な図案の数々に関するテクスト分析と図像解析を通じて、謎めいた彼の宗教観に関する理解を深めることにある。その意味を見極めるのが困難な図案も少なくなかったが、検討を重ねた結果、コクトーの教会美術作品に異端的・オカルト的な象徴性が用いられている可能性を指摘するに至った。そうした意匠は、彼がカトリックに対して抱き続けたアンビヴァレントな感情を物語るものであると考えられる。
著者
真庭 豊 松田 和之 門脇 広明 片浦 弘道 丸山 茂夫
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

単層カーボンナノチューブ(CNT)の、分子数個分程度の小さな直径をもった空洞内部に、水や炭素のかご状フラーレン分子などを挿入して、その性質を調べた。水分子ではアイスナノチューブと呼ばれる特異な氷が形成され、その形成温度がCNT直径に対してどのように変化するかが明らかになった。また、CNT内部の水分子が雰囲気ガス分子と交換する交換転移が発見された。さらに、CNT内部におけるフラーレン分子の大振幅回転運動の存在や特異な水の誘電特性が明らかになった。
著者
松田 和之
出版者
大阪大学
雑誌
Gallia (ISSN:03874486)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.61-69, 1990
著者
松本 竹久 松田 和之 本田 孝行
出版者
医学書院
雑誌
検査と技術 (ISSN:03012611)
巻号頁・発行日
vol.38, no.11, pp.1053-1058, 2010-10-01

新しい知見 リボソームRNA(ribosome RNA,rRNA)遺伝子は,塩基配列を基に生物の系統分類の指標として用いられる.細菌を対象とした場合,rRNA遺伝子配列がわかれば,インターネット上のデータベースを利用することで細菌検査の経験がなくても,容易に属レベルもしくは菌種レベルでの菌名の推定が可能である.なかでも16S rRNA遺伝子は,菌種の登録の際に遺伝子配列の登録が義務付けられており,各菌種の遺伝子配列データが豊富に存在するため,菌種の同定に利用される.形態学的検査と生化学的性状検査では菌種の同定が困難な場合に,16S rRNA遺伝子配列を用いた検査が実施されるようになり,今までに報告されてこなかった菌種による感染症が報告されるようになってきた.
著者
松田 和之
出版者
福井大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2008

前年度に現地で撮影した写真やスケッチ、調査メモ等の記録をもとに、フランス国内の教会・礼拝堂内にコクトーが残した壁画やステンドグラスの各々に関して綿密な分析を加えた結果、イカロスを思わせる天使像など、予想どおりヘブライズム的な要素とヘレニズム的な要素の混淆がそこには認められ、壮年期のコクトーの文学作品より読み取れる独自の世界観が晩年の教会美術作品にも反映されていることを確認できたが、加えて、より注目に値する予想外の発見があった。二つの異端的な性格を秘めたモチーフ、具体的に言えば、マグダラのマリアのモチーフとテンプル騎士団のモチーフが、慎重にカムフラージュを施されながら、一連の教会美術作品の中に盛り込まれていたのである。こうしたモチーフをカトリックの礼拝堂の内部に描きこむ行為は、安易な気持ちでできるものではなく、コクトーの反カトリック的な宗教観が確固たるものであったことを物語っている。従来、その重要性にもかかわらず、彼の宗教観(カトリック観)について掘り下げて考察されることは少なかった。それだけに、今回の発見を端緒としてコクトーの文学と芸術の本質を正統と異端の観点より照らし出すことができれば、本研究は充分に意義のあるものとなるだろう。コクトーが残した教会美術作品の中でも、とりわけ最後の作品となったフレジュスの通称「コクトー礼拝堂」は、円形で天井から光を取り入れる仕組みになっており、南仏にあるマチスやピカソが装飾を手掛けた礼拝堂や同時代の日本に残されたヴォーリズの教会建築等に見られるそれぞれに個性的な意匠と比較しても、その様式上の特異性には際立ったものがある。ともすれば等閑視されがちな「コクトー礼拝堂」の存在意義を改めて確認できたのも、本年度の研究成果と言えるだろう。今後とも引き続き考察を深め、その特殊な形状にこめられた意味を探ってみたい。