著者
真庭 豊 松田 和之 門脇 広明 片浦 弘道 丸山 茂夫
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

単層カーボンナノチューブ(CNT)の、分子数個分程度の小さな直径をもった空洞内部に、水や炭素のかご状フラーレン分子などを挿入して、その性質を調べた。水分子ではアイスナノチューブと呼ばれる特異な氷が形成され、その形成温度がCNT直径に対してどのように変化するかが明らかになった。また、CNT内部の水分子が雰囲気ガス分子と交換する交換転移が発見された。さらに、CNT内部におけるフラーレン分子の大振幅回転運動の存在や特異な水の誘電特性が明らかになった。
著者
井ノ上 泰輝 項 栄 千足 昇平 丸山 茂夫
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.351-355, 2022-06-01 (Released:2022-06-01)
参考文献数
30

単層カーボンナノチューブの表面に窒化ホウ素ナノチューブやMoS2ナノチューブを化学気相成長することで,異種ナノチューブの同心複合構造であるヘテロナノチューブの創出が実現した.2次元物質におけるファンデルワールスヘテロ構造の研究が近年盛んであるが,本成果は擬1次元的なナノチューブにおいて同様の自在な物質設計の可能性を開くものであり,ナノチューブ構造に特有の新たな物性の発現やデバイス応用が期待される.本稿では,ヘテロナノチューブの合成と構造評価,およびその物性計測や応用について紹介する.