著者
井上 克弘 張 一飛 板井 一好 角田 文男 趙 静
出版者
一般社団法人 日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料学雑誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.223-232, 1995-06-05 (Released:2017-06-28)
参考文献数
35
被引用文献数
7

Seasonal changes of water-insoluble, soluble and gaseous F concentrations of aerosols in day and night times from June, 1988 to April, 1989 in a non-industrial area, were investigated in Morioka, Northeast Japan. The water-insoluble and soluble F concentrations were higher from November to April than from June to October. On the contrary, the gaseous F concentration was high in summer, probably because of influences of the steel industrial area in the Pacific coast region and wind-blown sea salt from the Pacific Ocean. The water-soluble F concentration of aerosols from Changchun, Northeast China in March and July to December, 1991,which are mainly due to coal soot, was extremely high in the winter season and was 116 times higher than that from Morioka. In addition, Holocene, Malan and Lishi Loesses, loess-derived soils, and saline soils from Xinjian Uygur Zizhiqu, the Loess Plateau, and Northeast China, where there is a high incidence of endemic fluorosis, contained a considerable amount of water-soluble F. However, the amount of water-soluble F in loess-derived soils from Korea and Japan was very low, indicating that F was leached out by heavy rainfall. The aerosols collected at Morioka from winter to spring contained a significant amount of coal soot and eolian dust. The F concentration of aerosols in Japan, therefore, could be influenced by coal soot and eolian dust transported from the Asian continent. These airborne particles could affect the water-insoluble and soluble F concentrations of aerosols in Japan.
著者
角田 文男 板井 一好 三田 光男 中屋 重直 桜井 四郎 立身 政信
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1988

産業界は勿論、社会全般にフッ化物の使用量が著増し、職場や日常生活に由来するフッ素の生体負荷量が増加する環境にある。懸念されるフッ化物の慢性影響として、少年期以後(主に成人期)の暴露による骨フッ素症が注目されるが、本邦ではその研究が殆どなされていない。本研究は骨フッ素症についてX線検査および臨床諸検査の成績から診断基準を確立し、さらに現在または過去にフッ化物暴露を受けている集団を対象として量-反応関係を検討したものである。1.骨フッ素症の診断基準:国内外から得られた多数の骨フッ素症のX線写真を読影し、これら患者の臨床検査成績を参考として重症度診断基準を作成した。即ち、骨X線の撮影部位は骨盤正面、腰椎を主とする脊椎部の正面と側面、膝関節を含めた下腿骨の正面と側面、前腕部の正面と側面または手部の正面とする。読影は骨梁の粗さ、骨密度の増高、骨輪郭の不明瞭さ、骨皮質の肥厚、石灰化や骨化の出現、骨棘や外骨腫の形成等をフッ素による硬化像として留意する。有所見は骨盤と腰椎>四肢骨>手の順で現れ易かった。骨X線像は重症度別に軽・中等・重症の3段階に分類しえた。臨床生化学的諸検査成績は、血清や尿のフッ素濃度を含めて直接的に診断に寄与しえなかった。2.フッ素の量-反応関係に関する疫学的検討:(1)労働許容濃度レベルの気中フッ化物に暴露されている中国労働者集団について年令階級別に暴露年数の長短と骨フッ素症の有症率を検討した結果、軽症を疑う者の率が45〜54歳代で暴露群に有意に高かった。45歳未満では15年暴露群でも有意の差を認めなかった。(2)国内の高フッ素地帯の住民について、過去に2〜3ppmのフッ素を含む地下水を20年以上飲用していた集団では、骨フッ素症が疑われる者を発見できず、また他の数地方で斑状歯者の家族検診を進めてきたが、まだ明らかな骨フッ素症は発見できない。
著者
岡山 明 小野田 敏行 板井 一好 西 信雄 小栗 重統
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

安静時代謝の住民での基本的な分布を明らかにするとともに循環器疾患危険因子との関連を検討するため、平成14年度に200名、平成15年度に200名について無作為抽出による住民対象の調査を実施した。調査は胆沢町、矢巾町の協力を得て保健センターで実施した。調査は週末を含む週4日間で午前中に実施し、対象者には空腹での来所を依頼した。安静時代謝量を測定する持続式呼気ガス分析装置は新たに購入し使用に供した。午前中は調査実施に用い午後はデータ整理及び参加者への結果報告準備に用いた。1.調査項目問診:飲酒喫煙、運動習慣、生活意識、生活満足度,栄養調査:フードモデルを用いた量頻度法による栄養調査,安静時代謝量:持続式呼気ガス分析装置を用いた代謝量測定,循環器疾患危険因子:血圧:自動血圧計による2回測定,血液化学検査:,安静時心電図,血管脈派速度,身体計測・運動能力:身長、体重、ウエスト・ヒップ比、握力,上腕周囲(脱力時、収縮時),生活体力(明治生命体力医学研究所版),歩行速度(30m)2.対象:40代、50代、60代、70代の男女各100名計400名。岩手県下胆沢町・矢巾町の協力を得て1町村当たり200名を住民基本台帳から作成した無作為抽出400名の名簿に基づき順次募集した。最終調査対象者は、385名であった。3.解析結果すべての検査項目について基本集計を完了し、データ解析を行う体制が構築できた。安静時代謝量は年齢が高くなるほど低く、肥満度が高くなるにつれて低くなる傾向が観察された。同時に測定した生活関連体力の測定結果からは、年齢とともに生活体力が低下する傾向が明らかとなり、生活体力が高齢者のみにとどまらず中高年者の体力の指標として有効であることを明らかにした。また血清フッ素は女性では50歳代で、男性では60歳代でたかまり、骨塩量の経年変化の男女差を説明できる可能性があると考えられた。