著者
西田 正人 笠原 国武 金子 實 岩崎 寛和 林 一雄
出版者
社団法人日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.37, no.7, pp.1103-1111, 1985-07-01
被引用文献数
11

39歳の子宮癌患者から新しい子宮体内膜腺癌細胞株(Ishikawa株)の樹立に成功した.細胞は単層シート状に配列して増殖し,容易に重積する.培養開始後3年8ヵ月を経過して安定した増殖を続けており,現在第60代に至っている.細胞増殖倍加時間は9代,40代,50代でそれぞれ約36,29,27時間である.染色体はdiploid領域にモードを持っている.本細胞をヌードマウスに移植すると分化型子宮体内膜腺癌に一致した管状腺癌組織を再構築する.移植腫瘍組織とin vitro培養細胞からエストロゲン,プロゲステロンレセプターが共に陽性に検出された.in vitroにおいて培地中からestrogenを除去しても細胞増殖は維持され,本細胞株はestrogenに依存性を示さなかった.
著者
小林 一雄
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.479-487, 2017-10-15 (Released:2017-10-15)
参考文献数
58
被引用文献数
1

放射線照射によるDNA損傷の中でもDNAに溶媒和している水分子のイオン化により生成するH2O·+とDNAの反応過程が重要である。その中でも,糖–リン酸部位のラジカルの生成がDNA主鎖の切断を引き起こす。放射線化学反応の特徴である低エネルギー電子とDNAの反応や,修復することができない複数個の損傷が局在化して生成するclustered damageについて紹介する。