著者
東野 正明 林 伊吹 高橋 俊樹 須原 均 二村 吉継 櫟原 新平 青野 幸余 松尾 彩 川上 理郎
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.56, no.Suppl.2, pp.S181-S188, 2010 (Released:2011-12-01)
参考文献数
8

心臓血管外科手術患者において、術後の嚥下障害を術前や術直後に予測できるかどうかを検討した。症例は、心臓血管手術後経口摂取に問題があり、本院栄養サポートチーム (NST) に栄養管理の依頼があった 20 例 (男性 14 例、女性 6 例) で、手術から最終食事内容に至るまでの期間が 1 カ月未満であった 8 例 (A 群) と、1 カ月以上かかり術後の嚥下障害が大きな問題となった 12 例 (B 群) に分けて、両群間で比較検討した。その結果、心臓血管手術後嚥下障害を起こす要因として、年齢 (70 歳以上)、Body mass index (BMI)≧25 の肥満もしくは BMI < 18.5 の低体重、高度心機能低下 (EF ≦ 40%) の有無、脳梗塞の既往の有無、呼吸器疾患の既往の有無、緊急手術か否か、大動脈手術か否か、長時間手術 (10時間以上) か否か、の 8 項目のうち 4 項目以上に該当すると嚥下障害を引き起こす可能性が高いと考えられた。その中でも緊急手術、肥満、大動脈手術が影響していると考えられた。この 8 項目をスコア化したものと手術から最終食事形態に至るまでの日数との間に相関が認められた。また、心臓血管外科手術後患者の嚥下障害に対する NST 介入の効果も示された。術前スコアから術後の嚥下障害のリスクがあると予測される患者家族に対しては、十分な術前説明をするとともに、適切かつ迅速な対策を講じる必要があると考えられた。
著者
井上 功 山本 砧三 武嶋 寛剛 中小 路澄子 貞岡 達也 坂哲 郎 垣鍔 典也 坂倉 淳 牧本 一男 高橋 宏明 和田 公平 大森 研史 林 伊吹 藤田 隆夫 渡辺 猛世 藤澤 俊二 宇野 功 野中 隆三郎
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.87, no.7, pp.985-995, 1994-07-01 (Released:2011-11-04)
参考文献数
5

The effectiveness, safety and usefulness of ketotifen nasal spray were investigated in 163 patients with allergic rhinitis. Ketotifen nasal spray (0.05mg/puff) was given four times daily for 4 weeks or more. “Slight to high” improvement was recorded in 92.4% of patients and “moderate to high” improvement in 61.0%.Overall usefulness was very high for both perennial and seasonal allergic rhinitis. Side effects were noted in six patients (3.7%). Drowsiness was noted in five patients and nasal mucosal pain in only one.The results of this study suggest that ketotifen nasal spray is very useful in the treatment of allergic rhinitis.
著者
林 伊吹 林 与志子 宇野 功 藤原 裕樹 高橋 宏明
出版者
耳鼻と臨床会
雑誌
耳鼻と臨床 (ISSN:04477227)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.666-672, 1997-09-20 (Released:2013-05-10)
参考文献数
10
被引用文献数
3

嚥下を観察する際, 嚥下開始の指標を決定するために, 舌骨上筋群表面筋電図を用いることが多い. これは, 被験者に非侵襲的であるため, 有用な方法とされている. しかし, 舌骨上筋群表面筋電図と実際の筋の活動とが, どのように関わつているかを確認する必要がある. 著者らは甲状舌骨筋とオトガイ舌骨筋に電極を刺入して得た筋電図と, 舌骨上筋群表面筋電図を同時記録し比較検討した.嚥下の際に, 舌骨上筋群表面筋電図波形上, 2つの波形変化を認めた. 最初におこる小さい振れと, それに続く大きい振れである. 前者をEMG1, 後者をEMG2とした. 筋電図の比較により, EMG1はオトガイ舌骨筋の活動開始点と, EMG2は甲状舌骨筋の活動開始点と強い相関を認めた.この結果より, 舌骨上筋群表面筋電図は嚥下開始の指標を決定でき, EMG1は嚥下第一期の開始を, EMG2は嚥下第二期の開始の指標を表すものと考えられた.