著者
三橋 洋子 小林 幸子
出版者
和洋女子大学
雑誌
和洋女子大学紀要. 家政系編 (ISSN:09160035)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.55-63, 1996-03-31

昭和58年と62年に実施された献立のうち,22献立についての塩分量の検討を行った。また平成元年から7年(前期)までの7年間に実施された132献立のうち,5回以上実施された8種類の主菜,合計53献立について同一主菜別に献立内容の分析・検討を行い,次の結果が得られた。1) 大量調理における塩分濃度は,材料の量の多さや器具の表面積の大きさ等に影響をうけ,計算値と実測値に差が生じ,その差にはバラツキがみられた。2) 同一主菜の食材料の使い方にはハンバーグやちらし寿司のように各回で個性のあるものや,チンジャオロースやクリームシチューのように毎回使用する食品がほぼ同一であるものとがあった。3) 同一主菜を副菜,汁物を含めた献立としてみた場合,たんぱく質源食品や野菜類の主菜での使用不足分は,副菜や汁物で補っていることが多いが,不足しているままの献立もあり今後の検討課題としたい。
著者
坂本 元子 藤沢 由美子 石井 荘子 小林 幸子 川野辺 由美子
出版者
和洋女子大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1991

生体防衛反応に及ぼす無機質・微量栄養素欠損の影響を検討する目的で、栄養素としてマグネシウム(Mg)をとりあげ、Mg欠乏ラットを用いて検討を行った。初年度はMg欠乏時の補体系の動態を、2年目はMgのmarginal欠乏状態時及び欠乏初期の補体系の変動を観察した。更に3年目はMg欠乏時の免疫応答能について検討した。いずれもSD系の雄ラットを用い、Control食(Mg:73ppm)、Mg欠乏食(Mg:10ppm)及び2年目は低Mg食(Mg:30ppm)で飼育し実験に供した。補体系の検討は各飼料で3週間飼育後回復食を投与、各週毎の血中補体C3濃度、補体溶血活性(CH50)等を測定した。Mg欠乏初期の検討は、欠乏食飼育0、1、2、3、5、及び7日目の血液を同様に実験に供した。免疫応答能の検討では、欠乏食飼育1、2週目の脾臓及び腹腔マクロファージ(Mφ)を用い、マイトジェン(ConA、LPS)刺激による幼若化反応及びサイトカイン(IL-1、IL-2等)産生能を検討した。補体系の動態はC3濃度及びCH50がMg欠乏食飼育により著明な上昇を示し、この変化はMgの補充により回復した。また、Mg欠乏状態の程度が強くなるに従ってC3濃度及びCH50は上昇していた。Mg欠乏初期の観察では、C3濃度及びCH50の上昇が顆粒球数の増加に先がけて観察された。従って、Mg欠乏時の補体系の上昇はMg自体の欠乏で引き起こされ補体の活性化に伴って産生されるfragmentの作用により白血球の増加が起こる可能性が示唆された。一方、免疫応答に及ぼすMg欠乏の影響では、ラットの脾細胞マイトジェン刺激試験で、欠乏食飼育1週目においてConAに対する反応性が著しく低下していたが、その時のIL-2産生の低下はみられなかった。MφのIL-1産生低下も認められないことから、Mφの他の機能である抗原提示能やリンパ球増殖及び抑制等の機能の一部がMg欠乏により変化している可能性も考えられ、更に詳細な検討が必要であると思われる。