著者
林 恵津子 梅下 弘樹 白垣 潤
出版者
共栄学園短期大学
雑誌
共栄学園短期大学研究紀要 (ISSN:1348060X)
巻号頁・発行日
vol.24, pp.85-89, 2008-03-31

近年、子どもたちの基本的生活習慣の乱れが意欲や気力に大きな影響を与えるとして注目されている。そこで本研究では、子どもの睡眠生活習慣が発達にどのような影響を与えるかを見るために、睡眠生活習慣と発達検査結果の関連を検討した。その結果、早寝早起きの子どもは、生活習慣と理解言語で発達が良好であることが明らかになった。
著者
林 恵津子 Etsuko Hayashi
巻号頁・発行日
vol.23, pp.99-109, 2007-01-01

自閉性障害のある子どもは、睡眠の問題を多く示すと指摘されている。本研究では、自閉性障害のある子どもの睡眠の問題を、知的障害のある子どもや典型発達を示す子どもと比較した。その結果、睡眠の時刻やその長さよりも、昼間は覚醒し夜間はまとまった睡眠をとるという生活リズムの形成に問題を持つ児が多いことが明らかになった。さらに、生活リズムの形成に問題を持つ児における行動特徴を調べた結果、対人関係の調整における困難さがうかがわれる行動や、パタン化された行動や発声・発語といった常同行動を示す傾向が示された。
著者
森 正樹 林 恵津子 Masaki Mori Etuko Hayashi
出版者
埼玉県立大学
雑誌
埼玉県立大学紀要 = The bulletin of Saitama Prefectural University (ISSN:13458582)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.27-34, 2012

障害児保育巡回相談を行う専門職が、幼稚園・保育所との協働関係を構築する際の諸課題について面接法により調査した。その結果、これらの現場で、必ずしも専門職の役割が十分に理解されず、巡回相談の有効活用が進まない状況が示された。また、保育者に現場の実践に根ざした具体的なアドバイスを行うことの難しさも報告された。さらに、専門職と保育者の間に依存的関係が固定化するリスクや、対等な関係構築の困難さも指摘された。 これらを踏まえ、専門職に求められるコンサルテーションの技術に関し、以下の諸点の提言を行った。1.関係性の中に自らの専門性を位置付ける柔軟性、2.保育者の実践に学ぶ姿勢、3.発達障害児等のニーズを包摂する保育実践の再構成への支援、4.保育者の協働性開発への支援、5.保育者による実践の言語化と課題解決プロセスの促進・共有、6.状況把握の俯瞰的視点、7.健全な批判を可能とするパートナーシップの構築、8.保育者が自らの専門性と創造性を開発するための支援。
著者
林 恵津子
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.425-433, 2011 (Released:2013-09-14)
参考文献数
54

障害のある子どもは、眠れない、睡眠覚醒リズムが乱れる、睡眠時の異常運動があるといったさまざまな睡眠関連病態を高い割合で呈する。子どもの睡眠関連病態は、子どもの昼間の行動や気分に影響するばかりでなく、後の心身の発達にも影響する。また、家族の心身の健康にも影響するので、看過できない問題である。本稿では、障害種別ごとに、併存する睡眠関連病態を整理した。障害種別により、併存しやすい睡眠関連病態があることから、障害の背景にある神経機構と睡眠関連病態の背景にある神経機構に関連があることが示唆された。さらに、家庭での睡眠関連病態への対処法を整理し、その効果を示した。生活の最大の基盤である睡眠が確保できないと、親は子どもの将来を冷静かつ建設的に考えることが難しい。睡眠関連病態への迅速で丁寧な支援が期待される。