著者
林 美樹雄
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.11-17, 1955-07-15

美的観照を力動的な対象把握過程と考え、その力動性を画面の均衡把握について吟味するために成人式及び中学校生徒男女587名を対象としてテストを行った。テストの内容は単純図形を、画面としての矩形の内部に定位し中央位及び両側偏位の3種の構図について順位づけを求めた。被験者が幾何学的均衡(中央構図)と力動的均衡(偏位構図)との何れを選ぶかを18図形につき分析した結果を要約すれば次の通りである。(1)一般的傾向として中央構図の選択率%は略々50%を占め相称構図が支持せられる。これは特に相称図形において著しい(80%)。(2)図形が方向性緊張をもつ場合には方向性と逆方向の偏位構図が支持せられる。抽象幾何図形群においても方向性が把握せられるがそれが意味づけによって強化せられた 場合に偏位支持率が顕著となる。(3) 上下方向の変位図形においては下方偏位構図が支持せられる。(4)構図選択傾向を数値化した場合発達差よりも性差が著しく又その値は略々一定している。この差は主として男子群の方向性偏位支持率が集中的であるのに対し女子群のそれが稍曖昧である点によると思われる。(5)このテストと他種アーティストとの相関は極めて低い。知能テストとの相関は0.318であった。以上の結果はこのテストが諸条件を単純化しているために一般的な構図選択や複雑な画面の観照に適用することは出来ないが、而もそれは幾何学的図形においても相貌的方向性が認められそれが構図的均衡に影響を与えること、偏位は図形の方向性と逆方向において支持せられる等の点を明かにし力動的異質的均衡を分析する手掛りを提供する。この発展としては稍複雑な図形と連続的偏位法を用いて画面の均衡点を見出す操作により群差及び性差を一層明瞭に規定することと、画面諸要素の重さ及び方向性を精細に吟味することによって力動的均衡の特性を明らかにする側面とが残されている。但しこの様なテスト形式では画面の左右上下による重さの不等性を含む力動性の分析には不適当でありこの目的のためには瞬間露出法が有利であると考えられる。
著者
小林 美樹
出版者
生活経済学会
雑誌
生活経済学研究 (ISSN:13417347)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.1-11, 2010-03-31 (Released:2016-11-30)
参考文献数
17

In this paper, I examine how regional poverty affects happiness at an individual level based on the empirical studies by Alesina, Di Tella and MacCulloch (2004). I conduct the ordered probit analysis by using micro data from nationwide surveys, which is the Japanese General Social Survey, 2000 (JGSS). The results of the ordered probit model show that the effect on the poverty measure is significantly negative on happiness. I find that area level poverty affects negatively the rich current happiness assessment by individuals, even after controlling for various factors. Especially worth noting is that the income redistribution has a substantial influence on happiness.
著者
三柴 良和 吉多 誠児 岩崎 伸二 林 美樹 広瀕 拓
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.687-688, 1997-09-24

運用管理業務における管理者は監視結果の警告や諸情報に基づいて, 対応作業を行うことになるが, 管理者の対応作業は定型化が難しい事もあり, ツールによる支援があまり行われていない。また, 分散システム環境ではシステムの巨大化に伴い複数の管理者で分担して管理する事が多くなり, そのため管理者間での情報交換がスムーズに行われる事が管理作業を進める上で重要な要素になっている。複数管理者での管理作業で問題になるのは, 作業分担による情報の分断と不明確な責任範囲である。問題を抱えた管理者は, 自分では解決出来ない場合, 他の管理者に情報提供等の作業を依頼する事が考えられる。その場合に, 依頼を受けた管理者はさらに他の管理者に依頼をするなどして, 作業責任が不明瞭になっていく。そこで, 管理者同士のやり取りを, システムが畜積・公開を行う事で, 情報の共有・作業責任の明確化を行い, 問題解決の支援を行う。本研究では管理者間の協調作業と作業責任の明確化を重視した問題解決支援の仕組みを, 特に迅速さが要求される障害対応作業の支援として適用した。
著者
中辻 史好 林 美樹 橋本 雅善 丸山 良夫 馬場谷 勝廣 平尾 佳彦 岡島 英五郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.76, no.12, pp.1914-1918, 1985-12-20

膀胱原発のMalignant fibrous histiocytoma(以下MFHと略す)は極めてまれであり,本邦では現在までに1例のみ報告されているにすぎない.本症例は排尿困難を主訴として1982年6月4日当科を受診し,膀胱鏡にて頂部右側に直径約2cmの表面平滑な腫瘍と三角部に小豆大の乳頭状腫瘍を認めた.入院時諸検査に異常を認めなかった.膀胱二重造影,膀胱エコー,膀胱CT及び骨盤動脈造影にて頂部の腫瘍は臨床的深達度T_3a,三角部の腫瘍は臨床的深達度T_1の診断のもとに7月28日TURBtを施行した.病理組織学的に頂部の腫瘍はMFH,三角部の腫瘍はInverted papillomaと診断され,頂部の腫瘍に対しては8月10日膀胱部分切除術を施行した.術後vincristine 1mg,peplomycin 10mg,adriamycin 30mgによる多剤併用化学療法を3コース施行し,liniac 4,200radを照射した.術後28カ月現在,再発転移を認めず,経過観察中である.