著者
柏田 祥策
出版者
東洋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

DNAマイクロアレイの結果,118の遺伝子が発現上昇,117の遺伝子が発現減少した。そこから形態形成に係る5つの遺伝子を選び,qRT-PCR解析を行った結果,ctslおよびtpm1は発現抑制,atp2a1およびhoxb6bは発現昂進, rbpでは顕著な差は見られなかった。発現抑制した遺伝子において,RNAiを行った結果,頭部および眼の形態形成異常,脊索の湾曲,血栓および虚血の個体を得た。ctsl,tpm1およびrbpの3遺伝子がSNCsの標的遺伝子である可能性が明らかになった。SNCsの毒性影響は,解離した銀イオンが高く寄与していることも明らかにした。
著者
柏田 祥策 持田 和男 尾添 嘉久 中村 利家
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.503-512, 1995-11-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

汽水湖である宍道湖および中海から採集した優占動物プランクトン (それぞれ Sinocalanus tenellus およびOithona davisae) を含む5種の動物プランクトンの有機リン殺虫剤7種 (cyanophos, salithion, malathion, phenthoate, fenitrothion, diazinon および dichlofenthion) に対する耐性および分解能を評価するとともに, 春・秋期における両湖水のこれら殺虫剤の消失速度定数および両湖の動物プランクトン個体密度を用いて, 両湖水における殺虫剤消失に対する動物プランクトンの寄与率を算出した. S. tenellus および O. davisae の phenthoate および diazinon に対する耐性は, 試験したほかの農薬に対するそれらよりも低かった. 供試した5種の動物プランクトンによる農薬の分解は, 動物プランクトン種および農薬の種類によりそれぞれ異なるが, いずれの動物プランクトンでも malathion および dichlofenthion に対して高い分解能を示した. 両湖水中における殺虫剤消失に対する動物プランクトンの最大寄与率は, 春期の fenitrothion, malathion および salithion の消失に対して, 宍道湖でそれぞれ0.4, 8.1および3.4%, 中海でそれぞれ0.1, 0.1および1.9%, 秋期の fenitrothion, cyanophos および diazinon の消失に対して, 宍道湖でそれぞれ0.6, 4.6および0.8%, 中海で0.1, 2.7および1.2%であり, 有機リン殺虫剤消失に対する動物プランクトンの寄与は高くないことがわかった.