著者
奥本 剛司 尾添 嘉久
出版者
日本農薬学会
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.145-146, 2002 (Released:2011-03-05)

α4β2ニコチン性アセチルコリン受容体に選択性を示す[3H]エピバチジンを用いて、最適化した条件下で結合阻害実験を行い、ネオニコチノイド殺虫剤6種のラット脳ニコチン性アセチルコリン受容体に対する親和性を評価した。イミダクロプリドが最も高い親和性を示し(10μMで60.6%の阻害)、次いでアセトアミプリド、クロチアニジンの順となった。その他の3種にはほとんど親和性が認められなかった。
著者
松田 一彦 尾添 嘉久 岡島 俊英 山下 敦子
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

イベルメクチン(IVM)やミルベマイシン(MLM)等のマクロライド系化合物による抑制性グルタミン酸受容体(GluCl)の活性化機構解明するため、化合物の結合部位の解明に有用な光反応性試薬を開発した。また、カイコGluClの結晶化に必須の大量発現方法を確立した。さらに捻転胃虫GluClに対するMLM-A_4の活性発現に重要なアミノ酸を同定し、本化合物の結合部位が2か所存在する可能性を見出した。
著者
柏田 祥策 持田 和男 尾添 嘉久 中村 利家
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of Pesticide Science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.503-512, 1995-11-20 (Released:2010-08-05)
参考文献数
18
被引用文献数
1 3

汽水湖である宍道湖および中海から採集した優占動物プランクトン (それぞれ Sinocalanus tenellus およびOithona davisae) を含む5種の動物プランクトンの有機リン殺虫剤7種 (cyanophos, salithion, malathion, phenthoate, fenitrothion, diazinon および dichlofenthion) に対する耐性および分解能を評価するとともに, 春・秋期における両湖水のこれら殺虫剤の消失速度定数および両湖の動物プランクトン個体密度を用いて, 両湖水における殺虫剤消失に対する動物プランクトンの寄与率を算出した. S. tenellus および O. davisae の phenthoate および diazinon に対する耐性は, 試験したほかの農薬に対するそれらよりも低かった. 供試した5種の動物プランクトンによる農薬の分解は, 動物プランクトン種および農薬の種類によりそれぞれ異なるが, いずれの動物プランクトンでも malathion および dichlofenthion に対して高い分解能を示した. 両湖水中における殺虫剤消失に対する動物プランクトンの最大寄与率は, 春期の fenitrothion, malathion および salithion の消失に対して, 宍道湖でそれぞれ0.4, 8.1および3.4%, 中海でそれぞれ0.1, 0.1および1.9%, 秋期の fenitrothion, cyanophos および diazinon の消失に対して, 宍道湖でそれぞれ0.6, 4.6および0.8%, 中海で0.1, 2.7および1.2%であり, 有機リン殺虫剤消失に対する動物プランクトンの寄与は高くないことがわかった.
著者
尾添 嘉久
出版者
島根大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

昆虫神経系で抑制性シナプス伝達を担うレセプターは農業薬剤の重要なターゲットである。本研究では、抑制性グルタミン酸レセプター(iGluR)の組織局在、機能および薬理学的性質を多方面から調べ、薬物作用点としての重要性をγ-アミノ酪酸レセプター(GABAR)と比較した。その結果、GABARの方がiGluRより薬剤ターゲットとしては重要であると考えられた。
著者
陳 き 太田 広人 佐々木 健介 尾添 富美代 尾添 嘉久
出版者
日本農薬学会
雑誌
Journal of pesticide science (ISSN:1348589X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.473-480, 2011-11

(R)‐オクトパミン(OA)との相互作用に関わるカイコ由来β‐アドレナリン様オクトパミンレセプターのアミノ酸残基を同定するために,オルトステリック部位と予測される部位に1アミノ酸置換をもつ7変異体を作製してHGK-293細胞に発現させ,(R)‐OAとの反応により細胞内cAMPレベルを上昇させる活性を測定した。その結果,S206A変異体は活性を保持していたが,その他の変異体(D115A,S202A,Y300F,Y300N,Y300L,Y300A)は活性を示さなかった。この結果とホモロジーモデリング/ドッキングシュミレーションの結果から,Ser202とTyr300は(R)‐OAのフェノール性ヒドロキシル基と相互作用し,Asp115はβ‐ヒドロキシル基及び側鎖アミノ基と相互作用することが推察された。