著者
栃木 衛
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.84-87, 2016 (Released:2018-02-08)
参考文献数
24

湾岸戦争病は,湾岸戦争終了後の多国籍軍側の帰還兵士にみられた関節痛,疲労,筋肉痛,頭痛,忘れやすさ,集中困難,気分の落ち込み,不眠,発疹などの種々の症状に対して,欧米を中心とするマスコミが呼称しはじめたものである。化学兵器への曝露やその予防薬,感染症や多種ワクチンの同時接種,砂漠に特有の諸環境,劣化ウランへの被曝,炎上した油井からの煙の吸入,精神的ストレスなどが原因として検討されてきたが,原因は未だ不明であり,湾岸戦争に由来する特異な病態ないし,新規の疾患の存在自体を疑問視する向きもあるのが現状である。一方,帰還兵に対して行われている追跡調査からは,低用量の神経剤曝露の長期的な影響が改めて問題とされている。本稿では,化学兵器曝露,中でもサリンへの低用量曝露と,精神的ストレス,とりわけ心的外傷後ストレス障害(PTSD)の影響という 2 つの観点から湾岸戦争病とサリン後遺症の共通点について考察した。
著者
栃木 衛 桑原 斉 垣内 千尋 佐々木 司 池淵 恵美 赤羽 晃寿
出版者
帝京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

統合失調症、双極性障害、パニック障害などを含む精神疾患、および自閉症、トゥレット障害などを含む発達障害などの精神科領域の疾患について、多発家系、孤発例家系や一卵性双生児不一致例についてDNAサンプルの蓄積を図った。また、これらのサンプルについて、次世代シークエンサーを利用したエクソーム解析や、マイクロアレイを利用した解析を行うことにより、統合失調症およびトゥレット障害の有力な候補遺伝子の同定に至った。
著者
栃木 衛
出版者
帝京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

自閉症遺伝研究において父親の生殖細胞(精子)を用いてエピジェネティックな解析を行うことの意義について理論的検討を行うと共に、マイクロアレイを用いたDNAメチル化のゲノムワイドな定量方法の確立を目指し、血液由来DNAを対象としてマイクロアレイによるメチル化解析の予備的検討を行った。定量方法の検討の結果では、同一サンプルであっても必ずしも十分な再現性が得られない場合があり、評価方法にさらなる検討を要することが判明した。