- 著者
-
桑原 斉
池谷 和
- 出版者
- 一般社団法人 日本児童青年精神医学会
- 雑誌
- 児童青年精神医学とその近接領域 (ISSN:02890968)
- 巻号頁・発行日
- vol.59, no.2, pp.148-158, 2018-04-01 (Released:2019-08-21)
- 参考文献数
- 37
自閉スペクトラム症/自閉症スペクトラム障害(autism spectrum disorder: ASD)の社会的な認知度が向上し概念が整理されたのは,最近30年ほどのことである。この間に,社会の側ではメディアで報道される犯罪・触法行為についてASDとの関連が取りざたされることが増えているように思われる。また,医療の側ではASDによる犯罪・触法行為についてケースレポートによる報告が蓄積されている。これらの逸話的な報道・報告は,犯罪・触法行為とASDの親和性を強調するが,犯罪・触法行為とASDの関連についての科学的な事実は多くない。本稿では,犯罪・触法行為とASDの関係について,現在までの知見を概説し,若干の考察を加える。