著者
栗山 貴久子 内藤 岳史 橋田 哲夫 大塚 拓治 日比 成美 今宿 晋作 澤田 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液学会雑誌 (ISSN:09138706)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.359-363, 1998-10-31 (Released:2011-03-09)
参考文献数
21

12歳で悪性貧血 (PA) を発症した男児例を報告した.患児は全身倦怠, 顔色不良を主訴に入院した.入院時, RBC 1.21×106/μl, Hb 4.7 g/dl, MCV 113.9 fl, MCH 39.2 pgと大球性高色素性貧血と好中球減少がみられた.血清のvitamin B12は低下し (190 pg/ml), 抗内因子抗体, 抗胃壁細胞抗体が陽性であった.骨髄検査では, 赤芽球の異形性と巨赤芽球性変化, 巨大後骨髄球, 好中球過分葉を認めた.胃内視鏡検査にて萎縮性胃炎が確認された.Schilling試験は57Co標識内因子, 58Coとも血中濃度が1.43%, 0.41%と著しく低値で, McIntyre II型PAと診断した. Vitamin B12の補充療法を開始したところ速やかに全身症状, 血液所見は改善したが, 萎縮性胃炎には高率に胃癌を合併する可能性があり, 定期的な内視鏡的検索が必要と思われた.
著者
鈴木 太 本城 秀次 金子 一史 吉川 徹 栗山 貴久子
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

自傷は青年期における自殺既遂を最も強く予測する因子の一つであり、近年の研究では、青年期の単極性うつ病において、非自殺性自傷の既往が自殺企図を予測することも示されている。本研究では、心的外傷が自傷を引き起こすという仮説を背景として、非自殺性自傷を伴う女児を対象として、眼球運動による脱感作と再処理法(EMDR)と対人関係療法(IPT-A)の比較が試みられた。研究期間の短さ、登録された症例数の少なさのために、当初の目的であったIPT-AとEMDRの有効性について比較することは困難であったが、EMDRが3例、IPT-Aが13例に対して施行され、外傷後ストレス障害の症状と社会的機能の変化が追跡された。