著者
栗林 賢
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.436-450, 2013-09-01 (Released:2017-12-08)
参考文献数
13

本稿は,青森県における集出荷業者を経由したリンゴ流通の特性を,集出荷業者の集出荷戦略の視点から検討した.集出荷業者は出荷するリンゴの品質を最重視する一方で,集荷基準を提示すると農家が出荷を中止する可能性があることから,集荷基準を提示せずに農家からリンゴを集荷している.この集荷・出荷間の矛盾を解消するために,集荷では仲買人を雇用して農家の選別をしたり,意図した品質のものを買付けできる産地市場を利用している.また,出荷では長期的な関係を築くことで取引先にリンゴの特質を理解してもらうなどの方策をとっていることが明らかになった.また,集出荷業者は農家から集荷する中で,運搬労働力や資材の提供をすることで有袋栽培を行う小規模農家群の経営を支え,4月以降の出荷を安定したものとしている.このように,集出荷業者が出荷・集荷間の矛盾を解決した結果として,現在の集出荷業者を介したリンゴ流通は成り立っている.
著者
栗林 賢
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
地理学評論 Series A (ISSN:18834388)
巻号頁・発行日
vol.90, no.2, pp.137-149, 2017-03-01 (Released:2022-03-02)
参考文献数
17

本研究では,JAの合併に伴う取扱量の増大を背景とした卸売市場の集約化がどのようにして展開しているのかを,JAつがる弘前によるリンゴ出荷を対象に明らかにした.その結果,卸売市場への出荷は,産地での袋詰めや希望価格の実現性の低さなど産地側の負担が大きいものの,JA内で在庫が発生した際などに大量出荷可能な大都市の市場への量的集中がみられた.その一方で,大量に出荷することのできない市場でも価格や等階級指定の緩さといった取引上の優位性がある市場や出荷量の増加要求のあった市場への出荷は増加傾向にある.しかし,同じ少量出荷している市場でも,取引に優位性のない市場への出荷は減少傾向にある.そのような市場と多量出荷可能な市場間での出荷するリンゴの等階級の重なりが,より一層少量出荷型市場からの撤退を促し,多量出荷可能な市場への集約化を進行させていることもわかった.
著者
栗林 賢
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
E-journal GEO (ISSN:18808107)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.463-472, 2018 (Released:2018-10-04)
参考文献数
9

近年,廃棄されるはずの食品を企業などから収集し,食品の支援を必要とする生活困窮者などに再分配するフードバンク団体の活動が活発になってきている.しかし,地方に立地する団体の多くは東京に立地するセカンドハーベスト・ジャパン(以下,2HJ)からの食品の転送によって活動を維持できている状況にある.そこで本研究では,2HJからの転送を受けてこなかったフードバンク団体がどのようにして食品調達先を確保し,活動を維持してきたのかを,東京から遠距離にある北海道に立地するフードバンク団体を事例に明らかにした.その結果,事例としたフードバンク団体の中でも,活動を開始する以前から近接する他団体との繋がりを有していた団体は,活動初期から食品提供を受けたり,調達先を紹介してもらっていた.一方で,他団体との繋がりを有していなかった事例でも,調達方法の工夫や活動の周知によって食品調達先を確保し,活動を維持できていることもわかった.
著者
山田 雅之 栗林 賢 諏訪 正樹
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第26回 (2012)
巻号頁・発行日
pp.1O1OS66, 2012 (Released:2018-07-30)

スポーツフィッシングにおいて,勝敗の行方を左右する大きな要因の一つにポイント移動が挙げられる.ポイント移動は「なぜ移動するのか?どこへ移動するのか?」といった問題に対し,状況を総合的に考慮し決断される.このような過程は暗黙的であり,その決断は極めて身体的な感覚によってなされている.本研究では,元プロの湖上での振る舞いを記録し,身体知獲得を支援するツールのデザインを実施した.
著者
山田 雅之 栗林 賢 諏訪 正樹
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.26, 2012

スポーツフィッシングにおいて,勝敗の行方を左右する大きな要因の一つにポイント移動が挙げられる.ポイント移動は「なぜ移動するのか?どこへ移動するのか?」といった問題に対し,状況を総合的に考慮し決断される.このような過程は暗黙的であり,その決断は極めて身体的な感覚によってなされている.本研究では,元プロの湖上での振る舞いを記録し,身体知獲得を支援するツールのデザインを実施した.