著者
佐藤 吉史 桐生 徹 大島 崇行
出版者
一般社団法人 日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.57-66, 2020-07-31 (Released:2020-07-31)
参考文献数
18

本研究の目的は,理科授業において定点参観と自由参観という参観スタイルと授業検討会の発話の関連を事例的に検討することである。その結果,2つの参観スタイルの授業検討会において,次のことが明らかになった。(1)定点参観では,授業中の子どもの個人思考についての発話が多いと意識する参観者が多く,授業で扱われる教材についての発話や授業における授業者の発問や指導法についての発話が多いと感じる参観者は少ないことが示された。また,自由参観では,参観者自身の発話に関する意識に差は見られないことが示された。(2)定点参観では,学習者を含む複合的な知識領域の発話が有意に多く,自由参観では,学習者単体もしくは学習者を含まない知識領域の発話が有意に多いことが示された。(3)定点参観においては,経験交換ケースの会話が有意に多く,自由参観においては,安易な合意ケースの会話が有意に多いことが示された。
著者
髙橋 瞭介 桐原 一輝 桐生 徹 大島 崇行
出版者
一般社団法人 日本科学教育学会
雑誌
日本科学教育学会研究会研究報告 (ISSN:18824684)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.25-28, 2020-03-07 (Released:2020-03-04)
参考文献数
8

本研究では,空間認識力を育むことができる教材を開発し,ドローンを使った授業をデザインし実践した.分析1では,授業前後に行った空間認識力評価テストの得点を分析し,低位層と中位層において事後テストでの点数が有意に向上したことが明らかになった.分析2では,評価テストの誤答分析を行い,授業後に三面図に書かれたドローンの動きについて視点移動を行うことができる児童が増えたことが明らかになった.分析3では,授業以前から視点移動を獲得していた児童,授業後に視点移動を獲得した児童は授業の中で開発した教材を活用する場面が見られた.以上から,開発した教材と授業デザインは空間認識力を育む一要因になると結論づける.
著者
三崎 隆 西川 純 桐生 徹 川上 早苗 水落 芳明
出版者
臨床教科教育学会
雑誌
臨床教科教育学会誌 (ISSN:1883180X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.111-119, 2013

本研究では,小学校第2学年から第3学年にかけてクラス替えが行われて『学び合い』の考え方による授業が始まった第3学年の新しい学級集団において,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けた児童と前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けていない児童の学びの様態について調査を行った。その結果,次の点が明らかになった。教科に依らずいずれの授業においても,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けた児童の方が,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けていない児童よりも,一番分かりやすく教えてくれた人と回答される児童の割合が多い。教科に依らずいずれの授業においても,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けた児童の方が,前年度に『学び合い』の考え方による授業を受けていない児童よりも,相手の理解の状況に合わせて理解を促すようにして教える姿勢が読み取れる。