著者
瀬良 良子 小池 豊 桑野 玲子 桑野 二郎
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.323-339, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
14
被引用文献数
6 6

2011年3月の東日本大震災では,関東地方から東北地方にわたり大規模な地盤災害が発生したが,特に広域な液状化被害が,関東地方の東京湾岸部埋立地や利根川下流の軟弱地盤分布地で発生した。液状化被害の多くは地盤変状など目に見えるものであったが,あまり知られていない被害として道路下に発生した空洞があり,東京湾岸部の液状化地域で186kmの道路に平常時の7倍以上になる709箇所もの空洞が確認された。液状化による空洞は,噴砂に伴う空洞化と破損した下水管等への土砂流出現象等が複合的に関わって発生すると考えられるが,詳細な過程については不明な部分が多い。本研究は,液状化空洞の発生について自治体へのヒアリング,空洞調査結果の詳細な分析および現地検証を行うとともに,土槽実験を用いた液状化再現による空洞発生および拡大メカニズムの検討を行い,「液状化空洞は広がりが大きく薄い形状で,特に噴砂箇所周辺で空洞下部に緩みを有し,埋設管の位置により地盤の乱れが異なる。いずれも空洞補修の際には緩み部まで対処が必要。」という結論を得た。また,検討結果と震災後緊急対応として多数の空洞を補修した自治体の実態を踏まえ,大規模な地震発生で再発が懸念されている再液状化への対応について考察し,今後の路面陥没未然防止対策に資する道路保全技術について,現在の知見を取りまとめた。
著者
桑野 玲子 桑野 二郎 井原 務 瀬良 良子
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.319-322, 2020-07-01 (Released:2020-08-20)
参考文献数
7

道路下の空洞は,都市の成熟と共に様々な要因で生成し,場合によっては道路陥没を引き起こす.陥没防止のためには,地中レーダ探査によって路面下空洞を探知し,補修などの対策を施すことが,対症療法として効果的であるが,その費用は空洞生成の主要因であるインフラ老朽化や近年の気象の激甚化に伴い今後さらなる増大が予想され,効率的かつ合理的な陥没対策の構築が喫緊の課題である.本研究では,これまでの室内試験や既存データの分析による陥没危険度評価方法の検証とともに,舗装構造を考慮した評価方法を開発するために,人工空洞を設置した実物大試験道路を埼玉大学構内に構築した.本報では試験道路の構築および路面陥没の限界耐力の計測のために実施した空洞載荷試験の概要を報告する.
著者
太田 秀樹 桑野 二郎 竹村 治朗 日下部 治 小林 一三 飯塚 敦
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

平成11年度はジオシンセティックスで補強された土構造物の力学的挙動を合理的に説明することを目的とし,ジオシンセティックスと締固め土の力学的相互作用と補強効果の関連に着目し,締固め土のせん断特性を考慮したモデル化を行った.すなわち締固め土と等価と考えられるような過圧密粘土を想定し,締固め試験に対する一連の等体積一面せん断試験結果に基づき,計算に必要なパラメータの決定方法を提案し,2つの実物大現場試験を有限要素解析によりシミュレートした.その結果,・ジオシンセティックスの敷設が,せん断による土の体積膨張を拘束すると,その補強効果は土の違い(締固め度合いの違い)によってどのように現れるかを解析的に調べ,関口・太田モデルを用いた場合には,強く締め固めすぎるとジオシンセティックスの拘束効果をかえって減ずる場合があることを示した.・締固め土を対象として,解析に必要な入力パラメータの決定法を提案した.締固め管理図を描くことにより,締固め土を過圧密粘土の概念を用いて置き換え,締固め度合いを過圧密比で表すことができた.・実物大現場試験を有限要素解析にてシミュレートし,実測された変形挙動,特にせん断ひずみの集中を説明を説明することができた.