著者
飯沼 光生 安井 清子 峯田 淑江 山田 幸子 田村 康夫 久保 金弥 桑野 稔子
出版者
朝日大学
雑誌
岐阜歯科学会雑誌 (ISSN:03850072)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.150-155, 2004-11-20

痴呆と口腔状態や生活自立度との関係を調べることを目的として,老人保健施設の入所者を対象に実地調査を行った.調査対象は愛知県一宮市の老人保健施設入所者である.年齢66歳から97歳の男性17名と女性36名の計53名(平均82.9歳)であり,平成12年12月に調査を実施した.調査した老人の痴呆度はIが12名,IIが13名,IIIが21名,IVが6名,Vが1名と重度の者は少なく,痴呆初期の者がほとんどであった.生活自立度と痴呆度の関係は,食事,理解表出,社会交流と痴呆度との間に負の相関が認められた.残存歯数と痴呆度との間には有意な相関関係が認められなかったが,機能歯数との間には負の相関が認められた.痴呆度と口腔状態総点との間には負の相関は認められなかったが,痴呆度と生活自立度総点との間に負の相関が認められた.
著者
井上 広子 桑野 稔子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.63, no.7, pp.421-430, 2012

日本では,やせや肥満が問題視される一方,BMI は「やせ」や「正常」と診断されるものの,体脂肪率が高い「正常体重肥満」の実態やその特性は,十分に明らかにされていない.そこで,本研究では女子大学生を対象に普通体型 (18.5 ≦BMI<25) の者を体脂肪率別に3 分類し,身体状況,血液パラメーター,体型認識,食品群および栄養素等摂取量の実態を把握し,体脂肪率との関連について検討を行った.対象者は,BMI が18.5-24.9 の範囲内に属する女子大学生57 名である.調査項目は,身体計測,血液生化学検査,ボディイメージ調査,食物摂取状況調査である.統計解析は,体脂肪率3 分位 (Body Fat Percentage: BFP<25.0, 25.0 ≦BFP<30.0, BFP ≧30.0) に分類し,体脂肪率分類別の各パラメーターにおける比較検討を行った.その結果,血清中HDL-Chol 濃度においては,BFP<25.0%group, 25.0 ≦BFP<30.0group に比較し,BFP ≧30.0group が有意に低値を示し,血清中中性脂肪濃度,レプチン濃度は有意に高値を示した.食物摂取状況調査においては,BFP 高値のほど油脂,果実類の摂取量が有意に多かった.本研究結果より,BMI が正常域であっても正常体重肥満者は血液生化学検査や食物摂取状況調査の結果より,今後適切な栄養教育の必要性が示唆された.