著者
桑野 隆
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.6-20, 2008 (Released:2020-07-06)
被引用文献数
1

バフチンには,『ドストエフスキイの創作の諸問題』(1929)とその改訂増補版『ドストエフスキイの詩学の諸問題』(1963)という 2 つのドストエフスキイ論がある。本稿では,これらの著書およびその周辺の著作を比較検討することにより,主として〈ポリフォニー〉,〈対話〉,〈声〉に関する見解の変化を確認することにした。その結果,1920 年代後半から 30 年代半ばまでに目立つ「社会(学)的」視点が 1960 年前後の著作には見られないこと,また 1920-30 年代にはもっぱら「さまざまな声があること」を強調していたのに対して,1960 年前後には「ともに声をだすこと」をも重視しはじめていることが,明らかになった。さらには,『ドストエフスキイの詩学の諸問題』では,〈ポリフォニー〉や〈対話〉こそが他者に対する格別の「能動性」を必要とすることが繰り返し強調されていることも再確認できた。こうした点を考え合わせると,バフチンの対話原理の要点は,「距離」を確保した「対話的能動性」を身につけてはじめて「心に染み入る対話」も可能になるとの主張にあるといえよう。
著者
山口 智太郎 横山 庫一郎 篠原 典夫 近藤 正一 真島 龍興 犀川 勲 馬渡 太郎 吉本 栄治 浦上 泰成 桑野 隆史
出版者
West-Japanese Society of Orthopedics & Traumatology
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.1131-1134, 1995 (Released:2010-02-25)
参考文献数
5

Ten cases of aneurysmal bone custs were evaluated in regard to sex, age, site, symptoms, localisation, radiographic features, and histological appearance. We performed curettage and bone graft in 8 cases, curettage followed by hydroxyapatite packing in 1 case and wide resection followed by methacrylate packing in 1 case.Recurrences occurred in 4 cases, always within two years after surgery. Two cases were healed after their second operation. But recurrences were found several times in the other 2 cases. All cases were eventually cured and there was no evidence of malignant transformation.
著者
桑野 隆
出版者
恒文社
雑誌
比較文學研究 (ISSN:0437455X)
巻号頁・発行日
no.67, pp.153-155, 1995-10
著者
福田 育弘 神尾 達之 桑野 隆 後藤 雄介 高橋 順一 原 克
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

各人がそれぞれのフィールドにおいて近代の飲食行為を文化現象として考察した。福田は、おもにフランスと日本において、共に食べることに価値を見出す<共食の思想>の在り方を、歴史的な社会的背景をふくめ学際的に考察した。とくに、日仏の文学作品における共食の表象を研究し、それぞれの社会で、個人にとっての飲食の意味を重要視する<個食の快楽>が、<共食の思想>にあらがいながら形成されてきたことを明らかにした。ロアルド・ダール『チャーリーとチョコレート工場』(1964)は、2005年にティム・バートン監督によって映画化された。神尾は、子供向けのファンタジーとして読まれているダールの原作から表向きはいわば排除されていたチョコレートのセクシュアルな意味合いは、バートンの映画で回帰する。本研究では、この回帰のプロセスをチョコレートの表象の変化として考察した。桑野は、ロシア・アヴァンギャルドと社会主義リアリズムにおける飲食の表象を比較した結果、後者は豊かな飲食のイメージを捏造しているのに対し、前者では独特の日常生活観や革命観も関連して飲食の表象が乏しいことが改めて確認した。後藤は、ラテンアメリカの「喰人」表象が西欧とラテンアメリカの関係性において、今日のポストコロニアル的なものへと変化していったことを明らかにした。高橋は、わたしたちの社会の変容にとって重要なキー概念としての歓待の概念を研究した。歓待の概念は人類と生活世界(Lebenswelt)についての新たな視点の基礎となるものである。現在、高橋は歓待の哲学的な基礎について考察を行っている。原は、「お袋の味」言説を起点に、大量生産消費文化と家族制度イデオロギーという視点から20世紀米国の食をめぐる表象構造を批判的に分析した。以上の研究から、近代における飲食の問題性が学際的に浮き彫りになった。