著者
桜井 純一
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.178-182, 1960-08-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
9

結果は第2表のとおりで,これを要約するとi) 無処理のものは2日ともたないが,105℃で20分殺菌したものは5日間,30分殺菌したものは7日間以上保存することができた。100℃で60分殺菌したものでも,5日間の貯蔵に堪えている。このことはたとえ完全に殺菌しなくても,芽胞は不完全発育となり,発育時間がかかるようになる。2, 3日の貯蔵は十分で,団体旅行の携行弁当や,先年の水害時の給食などに用いるならば,非常に衛生的で有効であると思う。ii) 普通の白米でも袋詰炊飯はできるが,パ米を用いる時は炊飯に時間がかからないので,とくに処理しやすい。iii) 腐敗した飯から枯草菌に属するもの2種と赤色のコロニーを生ずるもの一種の繁殖を見たが,菌種は決定していない。完全に殺菌するには間歇殺菌することも可能であるが,実用的には1回の殺菌でよいので,何とか実施できるようにしたい。
著者
堀内 久弥 柳瀬 肇 谷 達雄 桜井 純一 加藤 欽一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.206-212, 1972-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
14

国内産米の過剰対策の一つとして米の輸出がとり上げられ,東南アジア諸国民の嗜好に適合させるために,国内産玄米を原料として精麦工場でパーボイル加工することを試み,独自の製造法を設定した。工程の中心は容量1トンの精麦用圧扁機の予熱塔を利用する蒸熱段階で,続いて同型の予熱塔に下から圧搾空気を吹上げるように改修して,水分20%までの初期乾燥が効率よく遂行できた。仕上乾燥には効率のよい乾燥機の導入が必要であるが,とう精は一般の精麦用研削式とう精機と研磨・除糠用に噴風式精米機を加えれば充分である。パーボイル加工により粒質が硬化し,日本米の粒質をインド型米に近づけうることを,炊飯特性,アミログラフィーなどの品質測定から確認した。またパーボイルドライスに混在する心白状粒の生成が未熟粒に基くことを明らかにした。
著者
桜井 純一
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
巻号頁・発行日
vol.6, no.4, pp.159-163, 1959-08-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
6

植物体中のクロロフィルの銅置換反応は蒸煮などの加熱操作により著しく促進されることは種々の場合に行われているが,実際工業的に応用するには考慮を要する。たとえばグリーンピースのクロロフィルを安定にするには,試料を稀薄な硫酸銅水溶液中に数分間煮沸後水洗するのであり,クロロフィル抽出工程において原料蚕糞中のクロロフィルをあらがじめ安定にするには,硫酸銅水溶液に浸漬後蒸せばよい。い草の場合も硫酸銅溶液に浸けて蒸すことがおこなわれており,三浦,塚本らの特許出願がある。疊表の色を変らぬようにするというだけのことでは,国民生活向上の上にさしてプラスにはならないようにも考えられるが,加工賃の余りかかるものではないから,国民生活安定とともに将来はかなり利用されると思う。したがつて業界としては不良品,模造品取締りのほか,色調改善,物理的性質の改良など技術的の面にも適切な指導機関の設置が望まれる。終りに本実験を行うに当り,葉緑素の定量について御指導いただいた東京都衛生試験所戸谷哲也技官,疊表の退色試験につき御援助いただいた鉄道技術研究所中島祥行技官,花莚捺染釜による大量試験に御協力いただいた岡山県西阿知町岡本栄一氏の諸氏に深甚の謝意を表する次第である。