- 著者
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桜井 純一
- 出版者
- 社団法人 日本食品科学工学会
- 雑誌
- 農産加工技術研究會誌 (ISSN:03695174)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, no.4, pp.159-163, 1959-08-15 (Released:2009-04-21)
- 参考文献数
- 6
植物体中のクロロフィルの銅置換反応は蒸煮などの加熱操作により著しく促進されることは種々の場合に行われているが,実際工業的に応用するには考慮を要する。たとえばグリーンピースのクロロフィルを安定にするには,試料を稀薄な硫酸銅水溶液中に数分間煮沸後水洗するのであり,クロロフィル抽出工程において原料蚕糞中のクロロフィルをあらがじめ安定にするには,硫酸銅水溶液に浸漬後蒸せばよい。い草の場合も硫酸銅溶液に浸けて蒸すことがおこなわれており,三浦,塚本らの特許出願がある。疊表の色を変らぬようにするというだけのことでは,国民生活向上の上にさしてプラスにはならないようにも考えられるが,加工賃の余りかかるものではないから,国民生活安定とともに将来はかなり利用されると思う。したがつて業界としては不良品,模造品取締りのほか,色調改善,物理的性質の改良など技術的の面にも適切な指導機関の設置が望まれる。終りに本実験を行うに当り,葉緑素の定量について御指導いただいた東京都衛生試験所戸谷哲也技官,疊表の退色試験につき御援助いただいた鉄道技術研究所中島祥行技官,花莚捺染釜による大量試験に御協力いただいた岡山県西阿知町岡本栄一氏の諸氏に深甚の謝意を表する次第である。