著者
堀内 久弥
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.241-245, 1980
被引用文献数
1 2

もち生地のレオロジー的測定を目的として,製法が簡単で均一な組織の生地がえられる白玉もち生地の実験室的調製条件を,針入度計による見かけの粘度から検討し,次の結果をえた.なお,硬化したもち生地に適した水分測定法を設定した.<br> 1.白玉粉捏和生地の加熱方法は,分割した白玉団子の煮沸より,全体を一度に蒸熱した場合のほうが,安定した糊化生地がえられる.<br> 2.練り笛し,型詰め後の冷却時間に従って見かけの粘度はS字状に増加して硬化するが, 48時間までは見かけの粘度は必ずしも濃度に比例しない.加水量45%以下の高い濃度では, 48時間以上冷却した生地の粘度増加は急激である.生地調製操作上で適当な濃度は加水量45%前後である.<br> 3.蒸熱時間は15分が最適である.<br> 4.乾式製粉のもち米粉末では良好な白玉もち生地はえられない.
著者
堀内 久弥 柳瀬 肇 谷 達雄 桜井 純一 加藤 欽一郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.206-212, 1972-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
14

国内産米の過剰対策の一つとして米の輸出がとり上げられ,東南アジア諸国民の嗜好に適合させるために,国内産玄米を原料として精麦工場でパーボイル加工することを試み,独自の製造法を設定した。工程の中心は容量1トンの精麦用圧扁機の予熱塔を利用する蒸熱段階で,続いて同型の予熱塔に下から圧搾空気を吹上げるように改修して,水分20%までの初期乾燥が効率よく遂行できた。仕上乾燥には効率のよい乾燥機の導入が必要であるが,とう精は一般の精麦用研削式とう精機と研磨・除糠用に噴風式精米機を加えれば充分である。パーボイル加工により粒質が硬化し,日本米の粒質をインド型米に近づけうることを,炊飯特性,アミログラフィーなどの品質測定から確認した。またパーボイルドライスに混在する心白状粒の生成が未熟粒に基くことを明らかにした。
著者
堀内 久弥 杉山 純一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.242-249, 1999-04-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
11
被引用文献数
1

米飯粒間の粘着性と空隙との関係を検討するために,空隙の観察が容易な二次元粒状体モデルとして,硬い材質のポリエチレン(PE),および柔らかい材質のシリコンゴム(SR),フォームラバー(FR)各円柱集積体に対する2軸圧縮曲線と空隙量の変化を測定した.一定の側方荷重で支持した10×10cmの樹脂製の枠に,直径0.5および0.7cmの円柱を約350本を積み上げて上方から十分に遅い一定速度で圧縮した.同時に枠の後方からの光で円柱間の空隙を観察し,画像解析装置で経時的に空隙比を求めた.PEの最密充填集積体はV字形のずり割れ破壊面が表れた.ポリプロピレンストロー(PPS)で適宜,空隙を増した場合は,ストローが空隙を吸収しPE最密充填時の約2倍のひずみで破坏した.SRはPEの場合のような明確なV字形破坏は見られなかった.SRにストローを挿入した時にはPE+PPSの圧縮一変形曲線を拡大したような挙動が表れた.炊飯粒よりなお硬いと考えられるFRは集積体中央部が圧縮されて両側に空隙層が表れた.モール・クーロンの応力円の解析により供試材料の強度定数,摩擦角φと粘着性cを求めた.いずれの材料も集積体の間隙量が増えれば摩擦係数が低下することを示し,この論旨は米飯にも適用されると考えた.