著者
秋野 裕信 石田 泰一 伊藤 靖彦 棚瀬 和弥 磯松 幸成 村中 幸二 森 啓高 金丸 洋史 岡田 謙一郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.257-262, 1997-04
被引用文献数
6

1983年10月~1995年6月迄に福井医科大学において治療した腎盂尿管癌40例に関して臨床的検討を行った.平均年齢は65歳,男女比は1.5であった. 1)組織型は全例移行上皮癌で,深達度では壁内浸潤(pT1とpT2)を12例,壁外浸潤(pT3とpT4)を19例に認めた.リンパ節転移は12例に,遠隔転移は4例に認められた. 2)腎盂・尿管壁内脈管侵襲としてリンパ管侵襲を63%に,静脈侵襲を46%に認め,その頻度は深達度,異型度と関連した. 3)膀胱癌の併発を21例に認めた. 4)全症例での5年生存率は57.1%で,深達度,脈管侵襲が予後と有意に関連していたWe reviewed 40 patients with renal pelvic and/or ureteral transitional cell carcinomas, consisting of 24 males and 16 females with a mean age of 65 years. The histopathological stage of surgically removed specimen was pTa in 6 patients, pT1 in 7, pT2 in 5, pT3 in 11 and pT4 in 6. Three patients with Tis and 2 with T3 did not undergo surgery. Of 35 patients pathologically examined, lymphatic and venous invasions were detected in 22 (63%) and 16 (46%), respectively, and were associated with pathological stage and grade. Overall the 5-year actuarial survival rate was 57.1%. Tumor staging and vascular invasion had a prognostic significance on the treatment outcome, but not metachronous or synchronous bladder cancer, identified in 55% of the patients. Adjuvant chemotherapy appeared to improve the survival of the patients with tumors pT2 or higher, grade 3 or vascular invasion without metastases.
著者
横山 修 秋野 裕信 青木 芳隆 横田 義史 楠川 直也 伊藤 秀明 棚瀬 和弥
出版者
福井大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

メタボリック症候群候補遺伝子の変異が下部尿路症状(lowerurinary tractsymptoms:LUTS)の発生と関連しているのか、ヒトあるいは病態モデルを用いて検討して以下の結果を得た。(1)過活動膀胱患者の血液サンプルを用いて、特にcycloxygenase-2(COX-2)遺伝子多型(JAMA291:2221,2004)について検討した。COX-2のプロモーター領域には-765番目のグアニンがシトシンに変異している一塩基多Single Nucleotide Polymorphism(SNP)が存在するが、その頻度は低く、これが直接過活動膀胱発生に関与しているとは考えにくかった。しかし、ヒトの症状スコアーと尿中パラメーター(PGE_2、PGF_<2a>、NGF、substance P)を用いて解析した結果、脳血管障害患者では、そのphenotypeとしての尿中PGE_2量は下部尿路症状、特に過活動膀胱(overactive bladder;OAB)症状と有意に関連し、他のメディエーターであるPGF_<2a>、NGF、substance Pよりも強い相関があった。脊髄疾患患者でもOAB症状と尿中PGE_2量とは有意の相関を示した。(2)福井県住民健康診査を受けた男女を対象に、夜間頻尿と下部尿路症状とメタボリック症候群のリスク因子との相関を検討した。その結果、夜間頻尿は肥満・高血圧・心疾患・不眠が独立したリスクで、メタボリック症候群の危険因子の数が多いほどオッズ比が大きかった。(3)なぜ上位脳血管障害患者で尿中PGE_2量が上昇するのか、動物モデルを用いた検討を行った。ラットに脳梗塞を起こさずに排尿反射のみを亢進させても尿中PGE_2量やATP量に変化はみられなかった。しかし脳梗塞を作成すると膀胱壁のATP量増加が認められ、知覚C線維をレジニフェラトキシンにて脱感作するとATP増加はみられなかった。したがって脳梗塞により膀胱の知覚C線維のupregulationが生じていると考えられた。PGE_2量は遅れて増加するものと推測される。(4)メタボリック症候群の病態モデルを用いて、排尿筋過活動の発生について実験を行った。その結果、高フルクトース食にて11ヶ月飼育したラットでは、高血圧・インスリン抵抗性が獲得され、排尿回数の増加とともに膀胱壁COX-2発現の上昇・尿中PGE_2の増加がみられた。