著者
東尾 志津子 森下 日出旗
出版者
Japanese Society of Food Microbiology
雑誌
日本食品微生物学会雑誌 (ISSN:13408267)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.43-47, 1997-06-28 (Released:2011-02-25)
参考文献数
23

市販されている3種類の塩納豆より, 最も耐塩性の強い細菌を3菌株分離し, それらの同定を行った結果, すベてB. subtilisであった.これらの菌株の耐塩性は2.5M NaCl BYP培地では増殖を示したが, 3MNaClでは増殖がみられなかった.B. subtilisの基準株であるB. subtilis ATCC12879株では1.5M NaClで増殖が阻止され, また, B. subtilis三浦株では2MNaClで増殖が阻止されたことから, 塩納豆より分離したB. subtilisの3菌株の耐塩性は非常に高いといえる.EGを使って耐浸透圧性を調ベた結果, 2M NaClと等張の3.4MEGでは増殖がみられなかったことより, これらの高い耐性は塩耐性に基づくものであることが判明した.耐塩性発現のパターンを経時的に検討したところ, 高塩濃度では増殖が遅く, 環境に適応するための物質合成に時間が必要であることを示唆している.