著者
水上 宏二 平田 祐子 森山 友幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.47-51, 2016 (Released:2016-03-31)
参考文献数
12

アスパラガスの半促成長期どり栽培において若茎調製残渣(以下,若茎残渣)の糖度と貯蔵根糖度との関係性を検討し,以下の知見を得た.春芽収穫期間中の若茎残渣糖度は,収穫始めは高く,収穫が進むにつれて漸次低下する傾向が認められ,定植後7~9年では3年および5年と比べて顕著に高く推移した.この株の生育年数による若茎残渣糖度の水準の違いは,夏秋芽でも同様な傾向がみられた.若茎残渣糖度の経時変動は,貯蔵根に蓄積された糖の濃度を推定できる貯蔵根糖度の変動と似通った.両糖度間には,春芽収穫期間が相関係数r = 0.9166の高い正の相関が,夏秋芽収穫期間ではr = 0.6963の正の相関が認められた.これらのことから,若茎残渣糖度をもって貯蔵養分の蓄積状況を推定できることが示唆される.
著者
井手 治 龍 勝利 森山 友幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.35-42, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
24

慣行の軒高が2 mのハウスにおける新たなトマト多収栽培技術として,トマト連続栽培システムを開発した.開発したシステムは6段果房または8段果房摘心栽培を,それぞれ年間2,3回のインタープランティングを行うことにより,盛夏期を休耕し周年栽培することなく累計24段果房を収穫できることが明らかとなった.また,作付回数の違いでは,年4作区が年3作区より,寡日照時期に果実肥大する果房上葉の受光量が多く,平均果重と可販果率が向上することから,単位面積当たりの可販果収量が増加し,30 t・10 a–1以上が得られることが明らかとなった.
著者
龍 勝利 井上 惠子 森山 友幸
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.26, pp.57-60, 2007-03
被引用文献数
1

ホウレンソウの秋播き露地栽培において、硝酸イオン濃度が低い品種を選定するため、31品種における硝酸イオン濃度を調査した。また、硝酸イオン濃度が低い品種の選定指標を明らかにするため、硝酸イオン濃度と生育特性との関係について検討した。1.ホウレンソウの硝酸イオン濃度は葉柄重割合が大きい品種ほど高く、栽培日数が長く、1株重が大きい品種ほど低い傾向が認められた。2.ホウレンソウの硝酸イオン濃度は、品種間、年次間(2002年、2003年)および播種時期間(9月播種、10月播種)に1%水準で有意差が認められた。その一方で、年次と品種および播種時期と品種における交互作用は認められなかった。3.'サンカルロス'、'プラトン'、'まほろば'、'アトランタ'および'ミストラル'5品種の硝酸イオン濃度は対照品種'パンドラ'より低かった。特に'サンカルロス'と'プラトン'の硝酸イオン濃度は3000mg/kgFW以下であった。
著者
奥 幸一郎 森山 友幸 小熊 光輝 井手 治 龍 勝利 柴戸 靖志
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.28, pp.50-55, 2009-03

長ナス「筑陽」の促成栽培において暖房用燃料消費量を削減しつつ、収量および品質を維持できる温度管理技術を確立することを目的として、高昼温低夜温管理とその開始時期について検討した。その結果、主枝摘芯前の11月上旬から高昼温低夜温管理すると慣行温度管理より主枝の生育が抑制され、総収量が少なくなった。主枝摘芯開始後の12月上旬から高昼温低夜温管理すると慣行温度管理と比較して、主枝の生育は同等であり、総収量も同等となり、燃料消費量は慣行温度管理の約40%を削減することが可能であった。以上のことから、長ナス「筑陽」の促成栽培において、収量及び品質を維持しつつ、暖房用燃料消費量を削減するためには、主枝摘芯開始後から高昼温低夜温管理を開始することが適当であることが明らかとなった。