著者
山下 純隆
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.29, pp.10-12, 2010-03

口臭の発生は、各種疾患によるほか、食物残渣などの蛋白質成分が口腔内で微生物により分解される場合や、ニンニクなどの食物が咀嚼による植物細胞自身の破壊で酵素が作用し誘導される場合などに起こる。これまで、口臭などの不快臭を低減するために、薬草や香草などの植物やその乾燥物・抽出物を用いた消臭に関する研究が多く行われてきた。農産物の新たな機能性として口臭などの不快臭に対する消臭効果を明らかにすることは、農産物の需要拡大に繋がることが期待できる。そこで、ニンニクを摂取したあとに口臭として発生するニンニク臭の軽減を図るために、その主要な成分であるとされるアリルメチルジスルフィド(以下、AMDS)とジアリルジスルフィド(以下、DADS)について着目した。これら主要成分に対し、いくつかの農産物による消臭効果を測定した中で、特に効果が高かった豆乳と牛乳について、その結果を報告する。
著者
山下 純隆
出版者
福岡県農業総合試験場
巻号頁・発行日
no.29, pp.10-12, 2010 (Released:2011-07-22)
著者
北島 伸之 佐藤 公洋
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.27, pp.53-57, 2008-03

9月10日頃に定植するイチゴの早期作型で、1〜2月の収穫の中休みを解消するために、定植後の遮光処理が第1次腋花房の花芽分化に及ぼす影響を検討した。(1)'あまおう'における第1次腋花房の花芽分化に必要な遮光処理期間は、10月中旬から遡って25〜40日間であった。遮光処理により第1次腋花房の花芽は10月15〜20日に分化し、頂花房と第1次腋花房間の出葉数が少なくなった。この処理により、頂花房の花数や年内収量が減少したが、1〜2月の収量が増加したため総収量は同程度であった。(2)遮光処理による第1次腋花房の花芽分化の促進効果の起因は、株周辺気温および地温の低下により葉の表面およびクラウン内部のイチゴの体温が低下したことであった。(3)とよのか専用肥料を用いて基肥窒素量が10a当たり5〜10kgの範囲内では遮光処理効果が現れた。
著者
林田 達也 片山 貴雄 尾形 武文
出版者
福岡県農業総合試験場
巻号頁・発行日
no.21, pp.67-71, 2002 (Released:2011-03-05)

茎葉を主として利用する葉ゴボウの品種‘恩智極早生白茎’の栽培法を確立するために、休眠や抽だいの特性および播種時期と保温施設、保温資材が異なる場合の生育、収量について明らかにした。1.葉ゴボウ品種‘恩智極早生白茎’を秋播きした場合、冬期にも葉が展開し、休眠は認められなかった。2.‘恩智極早生白茎’を秋播きした場合、3月中旬より抽だいが認められた。抽だいは根径が太いほど起こりやすく、16時間の長日条件により促進された。3.葉ゴボウ品種‘恩智極早生白茎’を北部九州において栽培する場合、9月下旬から10月下旬に播種し、大型ハウスや小型ハウス、トンネルおよび露地で栽培することが可能であり、これらの栽培法を組み合わせることにより、2月中旬から4月上旬までの長期収穫が可能である。
著者
笠 正二郎 山口 昇一郎 上田 修二 森 美幸
出版者
福岡県農業総合試験場
巻号頁・発行日
no.30, pp.56-59, 2011 (Released:2012-12-06)

捕獲季節や冷蔵条件が捕獲イノシシの肉質に及ぼす影響について調査した。その結果,秋季に捕獲した個体の脂肪の酸化は早いことが判明した。呈味成分である肉中グルタミン酸含量は冷蔵経過とともに増加する。また,肉中イノシン酸含量はと殺後速やかに冷却して冷蔵すると,4日前後で最大になり,その後,減少することが判明した。このことから,捕獲イノシシはと殺後早期に冷却し,5℃で4日程度冷蔵することで,脂肪の酸化を抑え,食用として,うま味に優れたイノシシ肉を得ることができると考えられた。
著者
朝隈 英昭 藤島 宏之 村本 晃司 矢羽田 第二郎 牛島 孝策 松本 和紀 粟村 光男
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.33, pp.24-28,63, 2014-03

「甘うぃ」は,中国系キウイフルーツ「ゴールデンキング」の自然交雑実生の中から選抜した品種である。育成地(福岡県筑紫野市)における開花盛期は5月中旬,収穫適期は10月下旬であり,いずれも「へイワード」より早い。果皮色は明褐色で,果肉色は黄~黄緑色である。果形は長楕円形で,果実重は150g程度と大果である。糖度は17~18度と高く,良食味である。5℃で3ヶ月程度貯蔵できる。
著者
月時 和隆 林 三徳 柴戸 靖志
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.24, pp.130-133, 2005-03

ホオズキ新品種'姫提灯'は、着果率が極めて高い'京築地域在来系統A'と、宿存ガクの形状が良好な'京築地域在来系統B'を交配した組み合わせの中から選抜し育成した。'姫提灯'は宿存ガクの先端が尖り、表面の凹凸が少なく良好な形状をしている。宿存ガクの大きさは5cm前後であり、既存の主要品種'タンバホオズキ'と同等である。下位第6節から第20節の着果率は90%と'タンバホオズキ'よりも高く、着果が優れる。切り花長は'タンバホオズキ'や親系統と同等かやや長く、切り花品質が優れる。
著者
龍 勝利 井上 惠子 森山 友幸
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.26, pp.57-60, 2007-03
被引用文献数
1

ホウレンソウの秋播き露地栽培において、硝酸イオン濃度が低い品種を選定するため、31品種における硝酸イオン濃度を調査した。また、硝酸イオン濃度が低い品種の選定指標を明らかにするため、硝酸イオン濃度と生育特性との関係について検討した。1.ホウレンソウの硝酸イオン濃度は葉柄重割合が大きい品種ほど高く、栽培日数が長く、1株重が大きい品種ほど低い傾向が認められた。2.ホウレンソウの硝酸イオン濃度は、品種間、年次間(2002年、2003年)および播種時期間(9月播種、10月播種)に1%水準で有意差が認められた。その一方で、年次と品種および播種時期と品種における交互作用は認められなかった。3.'サンカルロス'、'プラトン'、'まほろば'、'アトランタ'および'ミストラル'5品種の硝酸イオン濃度は対照品種'パンドラ'より低かった。特に'サンカルロス'と'プラトン'の硝酸イオン濃度は3000mg/kgFW以下であった。
著者
内村 要介 佐藤 大和 松江 勇次
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.20, pp.1-4, 2001-03

'安富白'(岡山県産白小豆の派生系統の一つ)と'兵庫大納言'を交配し,その後代から系統育種法により育成した'白雪大納言'の特性ならびに加工適性について検討した. 1.'白雪大納言'子実の百粒重は19.8gで,'岡山白'の約2.2倍,'兵庫大納言'の0.8倍で白小豆では類例のない大粒である.粒形は円筒形で,種皮色は'岡山白'より明度,黄色度,彩度が高い黄白色である. 2.'白雪大納言'は浸漬増加比および煮熟増加比が高く,加工適性全般の形質で優れていた. 3.'白雪大納言'の蜜漬け豆は,色,外観,味,香り,濃厚さにおいて,白あん用豆類との対比では高く評価された.
著者
笠 正二郎 山口 昇一郎 上田 修二 森 美幸
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.30, pp.56-59, 2011-03

捕獲季節や冷蔵条件が捕獲イノシシの肉質に及ぼす影響について調査した。その結果,秋季に捕獲した個体の脂肪の酸化は早いことが判明した。呈味成分である肉中グルタミン酸含量は冷蔵経過とともに増加する。また,肉中イノシン酸含量はと殺後速やかに冷却して冷蔵すると,4日前後で最大になり,その後,減少することが判明した。このことから,捕獲イノシシはと殺後早期に冷却し,5℃で4日程度冷蔵することで,脂肪の酸化を抑え,食用として,うま味に優れたイノシシ肉を得ることができると考えられた。
著者
佐伯 孝浩 中原 秀人 北島 敬也
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.26, pp.1-5, 2007-03

インショップ販売に対応する産地の体制を明らかにするため、農協の役割と農家の対応を検討し、インショップ販売が農家の所得と労働時間に与えた影響を分析した。インショップ販売への供給体制は産地の条件によって異なっていた。多品目野菜の周年出荷を求めるインショップ販売に対し、大規模産地では複数の品目別部会で対応し、小規模産地では新たな部会を編成して対応していた。小規模産地のC農協は直販課を設置し、新たなインショップ部会の編成を行った。農協の役割は流通面では、需給調整を行うこと、低コストな物流体制を整備すること及び確実な代金回収を行うことであった。生産面では流通に応じた生産体制を整えることであった。販売額の大きな農家はインショップ販売に対応するため、周年出荷体制を整え、複数の販売先で出荷数量を調整していた。キュウリ農家の販売実績をもとに分析した試算では、インショップ販売は市場出荷に比べ所得は2倍、労働時間は1.3倍、1時間当たり所得は1.6倍であった。
著者
奥 幸一郎 森山 友幸 小熊 光輝 井手 治 龍 勝利 柴戸 靖志
出版者
福岡県農業総合試験場
雑誌
福岡県農業総合試験場研究報告 (ISSN:13414593)
巻号頁・発行日
no.28, pp.50-55, 2009-03

長ナス「筑陽」の促成栽培において暖房用燃料消費量を削減しつつ、収量および品質を維持できる温度管理技術を確立することを目的として、高昼温低夜温管理とその開始時期について検討した。その結果、主枝摘芯前の11月上旬から高昼温低夜温管理すると慣行温度管理より主枝の生育が抑制され、総収量が少なくなった。主枝摘芯開始後の12月上旬から高昼温低夜温管理すると慣行温度管理と比較して、主枝の生育は同等であり、総収量も同等となり、燃料消費量は慣行温度管理の約40%を削減することが可能であった。以上のことから、長ナス「筑陽」の促成栽培において、収量及び品質を維持しつつ、暖房用燃料消費量を削減するためには、主枝摘芯開始後から高昼温低夜温管理を開始することが適当であることが明らかとなった。