著者
森山 新
出版者
お茶の水女子大学比較日本学研究センター
雑誌
お茶の水女子大学比較日本学研究センター研究年報
巻号頁・発行日
no.3, pp.111-117, 2007-03

グローバル時代を迎え、日本語教師は言葉だけ教えればよい時代は終わり、文化を含めた総合的な日本語教育が求められている。また異文化理解教育も、単に伝統文化などの知識を教えればよいわけではなく、異文化を読み解く能力(文化リテラシー)を育む教育が求められている。言語習得に対する考え方は、時代と共に行動主義、生得主義、認知主義へと大きく変化してきたが、21世紀を迎え、認知主義は応用認知言語学を提示し、言語教育に有益な示唆を与え始めている。グローバル時代に求められる総合的日本語教育にふさわしい言語観であると言える。
著者
長友 和彦 森山 新 史 傑 藤井 久美子
出版者
宮崎大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本年度の計画に基づき研究を進め、マルチリンガリズム研究会(http://jsl-server.li.ocha.ac.jp/multilinualism/index.html)(本科研のメンバーで設立)で、研究成果の一部を公表するとともに、主な研究成果をスイス・フリブールで開催の「The Fourth International Conference on Third Language Acquisition and Multilingualism」(http://www.irdp.ch/13/linkse.htm)で発表した。この国際学会では、本科研グループで、個別発表とともに「Multilingualism in Japan」というコロッキアを主宰し、日本社会における多言語習得の実態およびそこにおける課題に関する議論を展開した。研究の主なテーマは以下の通りである。1.中国語・韓国語・日本語話者によるコードスイッチングとターンテイキング2.中国語・韓国語話者による第三言語としての日本語の習得3.One Person-One Language and One environment-One Language仮説検証4.韓国語・日本語・英語話者における言語転移5.マルチリンガル児童のアイデンティティの発達6.多言語話者による言語管理7.環境の違いが多言語能力へ与える影響このような多角的な観点からの研究によって、日本社会における多言語習得の実態の解明に迫った。本研究の成果は報告書にまとめられる予定である。
著者
長友 和彦 森山 新 史 傑 藤井 久美子
出版者
宮崎大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本科研グループが設立した「マルチリンガリズム研究会」などを通して、研究を進め、その成果を雑誌や国際学会で発表するとともに、その成果に基づいた「多言語同時学習支援」の国際シンポジウムや試行プログラムも実施し、「多言語併用環境における日本語の習得、教育、及び支援」に関する全体の研究実績を報告書にまとめた。主な研究実績の概要は以下の通り。1.幼児から成人までを対象に、(1)1人1言語・3.実際に試行的な「多言語(日本語、韓国語、中国語)同時学習支援プログラム」を実施し、多言語併用環境での日本語の教育や支援、そのための日本語教員養成に関する基礎的なデータを得た。環境1言語仮説(2)思考言語と優越言語(3)言語環境の変化(4)品詞(5)言語選択(6)アイデンティティ(7)場所格(8)テンス・アスペクト等の観点から、タガログ語・英語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語・中国語等の多言語併用環境における日本語習得の実態が解明された。(これらの主な成果は、スイスでの国際学会「The fourth International Conference on Third Language Acquisition and Multilingualism」のProceedings(CD-ROM版)として出版。)2.国際シンポジウム「多言語(日本語、韓国語、中国語)同時学習支援」をマルチリンガリズム研究会と日本語教員養成機関(大学院>とで共催し、3力国(+台湾)での多言語学習・習得の実態の報告を受け、多言語同時学習支援プログラムと多言語併用環境での日本語の教育や支援のできる日本語教員養成プログラムの研究・開発に着手できた。3.実際に試行的な「多言語(日本語、韓国語、中国語)同時学習支援プログラム」を実施し、多言語併用環境での日本語の教育や支援、そのための日本語教員養成に関する基礎的なデータを得た。
著者
長友 和彦 森山 新
出版者
宮崎大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

・多言語併用環境,特に三言語併用環境にある幼児,年少者,成人の日本語およびその他の言語の発達を文法やコミュニケーション能力の発達という観点から解明した。・5班に分かれた約20名の研究者で月1回公開研究会を行いながら,タガログ語,ベンガル語,スペイン語,中国語,台湾語,韓国語,日本語によるデータの分析とその分析結果の検討を行った。・数回にわたって研究成果の中間発表会および最終発表会を公開で行った。・平成15年9月にアイルランドで開催されたThird International Conference on Third Language Acquisition and Trilingnalismで研究成果を発表するとともにInternational Association of Multilingualismの発足式に参加した。・研究成果を報告書(pp.1-199)にまとめ,約400部を関係機関・研究者に送付した。・本研究を基礎として「マルチリンガリズム研究会」が創設された。