著者
城 智彦 勝谷 隆 猪子 嘉生 大塚 正 鹿内 喜佐男 高橋 睦子 豊島 照雄 森川 修次
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.88-99,170-171, 1964
被引用文献数
2

広島県下のかきのむき身業者の間に近年喘息様疾患が多発している.私どもはこれにかきの打ち子喘息と命名して研究し, 次の結果をえた.1.本症は1951年頃より発生して以後年々増加する傾向があり, 県下全域の養殖場にひろく分布し, 各地域とも20%をこえる発生率を示した.打ち子の年令, 性別は本症の発生と関係なく, 発病までの従業期間は5年以内のものが過半数をしめた.2.本症の症状はかき打ちに従事した場合にのみ発生し, かき打ちの季節外や, 作業を休んだ時には無症状である.症状により4型をわけたが, 2型, 3型, 4C型, 4D型などの病型に属するものが多く, 1型, 4A型, 4B型などは少なかった.また発病後の経過年数の短かいものには軽症型, 長いものには重症型が多かった.Spirometryでは発作時に一般の喘息同様, 閉塞性の呼吸障害の存在がうかがわれた.3.本症患者はホヤ抗原液に対して特異的に高い皮膚反応性を示し, その一部では同抗原液の吸入により喘息様症状が誘発された.また本症患者血清による.P-K反応は陽性であった.これらのことから本症はホヤ体液による吸入性, アレルギー性喘息であると推定される.4.ホヤ類(特にシロボヤ, エボヤ)の付着状況と本症発生状況の間には密接な関係がある.戦後筏式養殖法が普及し, かき殻にホヤの付着をみるようになったことが, 近年になって本症の発生をもたらした原因と考えられる.5.蕁麻疹の既往のあるもの, 血族に喘息のあるものは, そうでない者に比して本症にかかりやすい.6.かき打ちに際して眼あるいは皮膚に〓痒感を訴えるものがあった.7.本症の治療にはホヤ抗原液による減感作が全症例において有効で, 一般の喘息剤も対症的には有効であった.8.ホヤ体液の吸入を防止すれば, 本症の発生は相当程度防げるものと思われる.
著者
裏辻 悠子 入江 潤 森川 修 伊福 弥生 末原 知美
出版者
Japan Society of Pain Clinicians
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.361-366, 2011-09-25

各種有痛疾患(n=456)にトラマド-ルをシロップ製剤として経口投与し,鎮痛効果,至適維持量,副作用,安全性を検討した.痛みの程度が5段階の言語式評価スケール(verbal rating scale:VRS)で3以上の症例を検討の対象とした.トラマドールを0.5-2 mg/kg/日(分2-4)で服用を開始し,2日から84日後まで服用量を調節した.トラマドールの服用量は20-450 mg/日であった.全体の50%の症例で,痛みはVRSで2以下になった(38.2%は痛みが軽快し,トラマドールの服用が不要になり,11.8%ではトラマドールを服用し,痛みが軽減していた).トラマドールは,帯状疱疹,帯状疱疹後神経痛で有効例が多く,複合性局所疼痛症候群,血管病変,がん性痛では,他の薬剤や治療法へと変更した症例が多い傾向であった.トラマドールの服用後に,嘔気・嘔吐,ふらつき,便秘が生じたのは全体平均で2-12%であったが,重篤な副作用はなかった.トラマドールでは,侵害受容痛,神経障害痛ともに良好な鎮痛効果が得られたので,各種難治性の痛みの治療法の一つとして,幅広い臨床応用が期待される.
著者
森川 修
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-5, 1964-03-25 (Released:2009-02-12)
参考文献数
7

殺線虫剤,ethylene dibromide (EDB), 1, 2-dibro-mo-3-chloropropane (DBCP)およびcis-1, 3-di-chloropropene (cis-D)の作用機構を知るため,これら薬剤のワモンゴキブリ雄成虫に対する毒性および中毒症状についてしらべた。薬剤のアセトン溶液をゴキブリの腹腔内に注射し,72時間後のLD-50を求めると,EDB 0.398μg, DBCP 0.955μg, cis-D 0.059μgであった。中毒症状を直接観察した結果,EDB処理では麻痺に落ち入り死亡するのに対し,DBCPやcis-Dを処理したものでは,興奮,麻痺,死亡の順に症状が現われることが明らかになった。また,処理薬量を2倍にしても発現する症状は変らなかった。Entomographyを行なったところ,EDBを処理した昆虫ではけいれんのみが現われるのに対し,DBCPやcis-D処理の昆虫では,興奮とけいれんが同時に起こることが明らかになった。
著者
森川 修
出版者
鳥取大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

鳥取大学における学力試験を課さない入試区分(AO入試,推薦入試Ⅰ)の合格者に対し,合格直後から入学直前まで,インターネットに接続されたPCを用いて自学自習ができるe-ラーニングを実施させた.合格後と入学後に学力試験の結果から,e-ラーニングの進捗率が高かった者や一定のペースで学習した者の成績は良好であった.また,卒業までの成績追跡の調査で,AO入試,推薦入試Ⅰの合格者は,一般入試合格者と比較して,大学在学中の学業成績や卒業率などに有意差は見られなかった.その結果,e-ラーニングは学習習慣を継続させるために有用なツールで,リメディアル教育として十分に利用可能である例を示した.