著者
森平 爽一郎
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
オペレーションズ・リサーチ : 経営の科学 (ISSN:00303674)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.707-712, 2005-10-01

年金の目的は長期にわたる年金保険料の支払いに対し, 退職後の長期の年金受給が確保されるかどうかである.年金が長期かつ不確実な予測に依存し, システムが複雑であることが, 問題を複雑にしてきた.事実, これまで年金の歴史は破綻の歴史であった.年金のリスク, つまりその破綻に関して, ポートフォリオとデリバティブズ理論に代表されるファイナンス理論と最適化やシミュレーション手法に代表されるオペレーションズ・リサーチのさまざまな考え方, 理論と手法が如何に貢献しうるか概観することにする.
著者
湯山 智教 森平 爽一郎
出版者
日本ファイナンス学会 MPTフォーラム
雑誌
現代ファイナンス (ISSN:24334464)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.1-30, 2017-11-30 (Released:2017-11-30)
参考文献数
39

本稿では,BEIにより期待インフレ率を抽出する際に,状態空間モデルにより,インフレリスクプレミアムと流動性リスクプレミアムを勘案した上で期待インフレ率を推計することを試みた.推計結果の解釈には一定の留意が必要なものの,単純なBEIは,状態変数として推計された期待インフレ率と比べると,リスクプレミアムのために平均的に40~70 bp程度下回っており,特にリーマンショック後にはその幅が100 bp超にまで達した可能性が示唆される.すなわち,単純なBEIは,市場における真の期待インフレ率を過少評価している可能性が高いと考えられる.なお,インフレリスクプレミアムは多くの期間でマイナス(0~−30 bpの間)の可能性が示唆された一方,流動性リスクプレミアムは平均で30~40 bp程度と推計され,特にリーマンショック後には100 bp超の水準にまで達し,リスクプレミアムの多くを説明している可能性がある.