著者
藤井 知昭 三浦 基嗣 長谷 徹太郎 敦賀 健吉 森本 裕二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.36-39, 2019-02-25 (Released:2019-03-12)
参考文献数
14

複合性局所疼痛症候群(complex regional pain syndrome:CRPS)はアロディニアを伴うことが多い.アロディニアは慢性痛患者の生活の質を損ねるだけでなく,治療に難渋することも多い.抑肝散は動物実験において抗アロディニア作用を有することが示されている.今回,抑肝散の内服継続が困難なCRPS症例に対して七物降下湯を投与したところ,抑肝散と同様の抗アロディニア作用が得られた.七物降下湯は,抑肝散の抗アロディニア作用の中心的生薬と考えられる釣藤鈎を含んでおり,抑肝散と同様の抗アロディニア作用を有する可能性がある.
著者
武内 寛子 辻野 直良 森本 裕二
出版者
一般社団法人 日本人間工学会
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.36-45, 2017-04-20 (Released:2018-05-10)
参考文献数
9

我が国の鉄道のプラットホームで発生する鉄道人身障害事故やプラットホームからの転落の約60%は酔客が原因である.本研究の目的は,プラットホームに設置している防犯カメラ映像を分析し,プラットホームからの転落や列車接触に至った酔客の転落・列車接触時の行動パターンと転落前に見られる前兆行動を明らかにすることである.その結果,酔客の転落・列車接触時の行動パターンが3種類,転落前に見られる前兆行動が5種類あり,それぞれの行動の発生確率が判明した.また,酔客は転落・列車接触の直前までホーム上で静止しており,動き出してから数秒の間に転落・列車接触に至ったケースが全体の約90%を占めていた.このことから,駅員が前兆行動中の酔客を発見した場合は,速やかに酔客に声をかける等して,酔客の安全を確保することが重要である.
著者
早川 峰司 森本 裕二 劔物 修
雑誌
麻酔 (ISSN:00214892)
巻号頁・発行日
vol.49, no.11, pp.1261-1262, 2000-11

超音波駆動メス(Harmonic Scalpel®, 以下HS, Johnson & Johnson Medical社, 東京)を用いた扁桃摘出術中に気管チューブの損傷を来し, 著しいカフ漏れを起こした症例を経験したので報告する.
著者
森本 裕二 MARSOLEK Ingo
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2005

人工呼吸に特化している医療法人井上病院におけるリスクマネージメントの現況の人間工学的分析を行った。トップダウン式の管理方法ではなく、ボトムアップ方式による安全管理が行われているかどうかを検討した。スタッフレベルによる勤務交代ごとの人工呼吸器チェックリストによる確認の徹底、インシデント・アクシデント発生時の速やかなレポートとその提出頻度を調査した。チェックリストマニュアルに従った点検は守られており、リスクマネージメント会議における、インシデント・アクシデントレポートの提出数も20-30/月と、約60床の人工呼吸器病棟からの提出頻度としては高いものと考えられた。また、インシデント・アクシデントレポートの情報も会議および院内LANにより情報開示されていた。人工呼吸関連肺炎を予防するための、気管吸引マニュアルの整備、積極的監視培養(active surveillance culture)がスタッフレベルで実施されていた。標準感染予防策(standard precaution)の徹底は医師・看護師のみならず患者介護に関与する看護助手にも浸透していた。業務プロセスの改善に関しては業務改善委員会を通じて、温度板の大幅な改訂が行われ、看護師の記録記載業務の効率化が図られると同時に、物品請求業務と連動し、請求漏れの防止効果も見られた。この温度板改訂も委員会で作成したプロトタイプを現場の病棟スタッフが実際に試用し、意見を委員会にフィードバックし、改訂を重ねるボトムアップ方式が取られていた。MRSA・多剤耐性緑膿菌の保菌患者は3年前に比べ減少していた。抗生物質の使用量も減少しており、ボトムアップ方式の感染管理が効果を挙げていると考えられた。北海道大学病院においては麻酔科による術前評価外来でのプロセス分析を施行した。外科系病棟から術前外来への患者・資料の流れは必ずしも効率的とは言えず、時間分析において不要な待ち時間が多いことが判明した。今後、北海道大学病院での改善材料となるものと思われた。