著者
金澤 真平 楊 添翔 後藤 正幸
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.47-64, 2021-06-15 (Released:2021-06-30)
参考文献数
12

中古ファッションアイテムの買取・出品・販売を行うECサイトではアイテムのブランドやカテゴリ,コンディションなど,商品情報が非常に多様であるため,出品価格の決定は重要かつ難しい課題の一つである.本研究の提案モデルでは,出品システムによって設定された出品価格を変更した場合の販売結果を観察するため,価格変更テストを設計する.一方,販売価格の予測精度を高めるため,アイテムの特徴と予測精度に関する情報をもとにアイテムのクラスタリングを行い,価格変更テストの結果データをモデルの検証データとして活用することで,高い精度で予測可能なアイテム群を発見する.そして,クラスタリングによって高い精度で予測可能であると特定されたアイテム群を提案モデルに適用可能なアイテム群と捉え,それらのアイテムに関して出品価格を変更した場合の販売価格を予測する.また,その予測結果に基づいてアイテムごとの出品価格と販売価格の関係性を捉え,適切な出品価格設定に関する分析を行う.
著者
楊 添翔 山下 遥 後藤 正幸
出版者
公益社団法人 日本経営工学会
雑誌
日本経営工学会論文誌 (ISSN:13422618)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.54-69, 2022-07-15 (Released:2022-08-15)
参考文献数
22

年間累積購買金額がある額を超えると顧客のステージが上位へ向上し,ポイントなどの特典を提供する会員ステージ制というマーケティング施策がある.この仕組みにより,企業側は,顧客の購買意欲を高めるだけでなく,その購買履歴データを得て優良顧客の特定などの分析に用いることが可能である.この仕組みのもと,会員ステージ間での購買特性の差異を明らかにすることは様々なメリットがある.一方,多様な嗜好を有した顧客が混在した対象データに対しては,クラスタリングモデルを構築することが顧客理解のために有用である.しかし,会員ステージ間で独立に顧客クラスタリングを適用した場合,得られたクラスタを会員ステージ間で紐付けて比較分析することができない.本研究では,会員ステージ間でクラスタ分布の差異が分析できるモデルとその学習アルゴリズムを提案する.
著者
良川 太河 山極 綾子 楊 添翔 後藤 正幸
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第35回全国大会(2021)
巻号頁・発行日
pp.3G1GS2g05, 2021 (Released:2021-06-14)

機械学習分野においてラベル分類の代表的な手法の一つである決定木は解釈性が高い識別器である.しかし過学習を起こしやすく,十分なデータ数がない場合予測精度が悪化する恐れがある.一方,アンサンブル識別器は過学習を防ぎ高い予測精度を示すが,複数の決定木を合成しているため解釈性が失われてしまう.そのため,アンサンブル識別器に近い予測性能を持つ単一の決定木を学習できれば,予測性能と解釈性を備えた有益なモデルとなる. そこで,学習データの生成により予測精度が高い単一の決定木を学習する手法が研究されている.その代表的な手法にBorn Again Treesがある.しかし,データ生成の際に膨大な計算量が必要となる上に,対象データの分布から外れたデータも多数生成してしまうため,学習した決定木が複雑になり解釈性が低下する恐れがある. そこで本研究では,生成モデルであるAutoencoderとオーバーサンプリング手法であるSMOTEを用いて対象データの分布に従うデータを少ない計算量で生成し,高い予測精度を持つシンプルな決定木の学習方法を提案する.最後に実データを用いた評価実験を行い,提案手法の有効性を示す.