著者
楪 博行 Hiroyuki YUZURIHA 京都文教大学 Kyoto Bunkyo University
雑誌
京都文教短期大学研究紀要 = The Kenkyu kiyo (ISSN:03895467)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.13-24, 2014-03-12

幼児や小学校低学年の児童などが学校で事故を発生させると、民法714条2項により代理監督者である学校設置者などが責任を課せられる。この代理監督義務の範囲は監督の委託のそれであり、教育活動及びそれと密接不離な生活関係である。これは広範なものであり、教師は民法709条の不法行為責任と併せ、過度の負担を強いられることになる。そこで、委託を受ける代理監督者を教師個人ではなく学校設置者などに限定すべきである。さらに、法定監督義務者の行為と加害行為に相当因果関係がある場合には、代理監督者は責任を免れるべきである。
著者
楪 博行 栗山 修
出版者
京都文教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

大規模被害への損害賠償について、アメリカの大規模不法行為と証券詐欺の事例を参考にして、これらの事例の現況と問題点を検討し、わが国へ示唆するものを考察した。多くの大規模不法行為および証券詐欺の訴えはクラス・アクションによる。そこで、アメリカにおけるクラス・アクションの現況を踏まえ、コモン・ローと大陸法体系をもつカナダでの状況と比較しながら、クラス・アクションでの損害賠償の妥当性を中心に検討した。
著者
楪 博行
出版者
京都文教大学
雑誌
人間学研究
巻号頁・発行日
vol.7, pp.63-74, 2006

1990年代から大規模不法行為クラスアクションの乱用として、不公平な和解と代理人の高額な報酬が指摘されてきた。このために、連邦議会は2005年にクラスアクション公正法を通過させ、当事者間の州籍相違要件緩和と訴額要件を規定して、連邦裁判所の州籍相違管轄権を拡大した。また、公正法が目指したクーポンの類による和解への規制は、かような和解を行うに際し連邦裁判所に公正な審尋を要求することになった。クラスアクションの現状を是正しようとした結果、管轄権の拡大と和解への精緻な審査を要求し、連邦裁判所へより多くのクラスアクション処理の負担を招くことになったわけである。