著者
星 葵 亀田 光宏 榊 聡子 井上 翔太 小林 紀子 熊谷 雄基 松永 康二郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.46, pp.A-65_1-A-65_1, 2019

<p>【背景・目的】</p><p>我々は食欲の評価指標であるCNAQを用いることで,食欲低下のある慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者は6ヶ月後に体重が減少し6分間歩行距離が低下することを報告した.一方で,COPD患者は,%標準体重(% ideal body weight:%IBW)が90%未満の場合に栄養障害と判断され,栄養障害が重症化するほど改善が困難なため,体重が正常範囲の時点で栄養障害を予測する必要性がある.本研究では,栄養障害のないCOPD患者の食欲低下が体重と運動耐容能に与える影響を検証した</p><p> </p><p>【方法】</p><p> 対象は,当院呼吸器内科にて外来通院している栄養障害がなく食欲低下しているCOPD患者6名(年齢77.6±3.4歳,FEV1.0%34.7±7.3%,%IBW97.5±3.6%,BMI21.7±0.8,CNAQ25±2)とした.初期評価時より6ヶ月後の体重と%IBWの変化率,及び6分間歩行試験(6MWT)の変化率に対し,Wilcoxon符号付順位和検定を用いて比較した.有意水準5%未満とした.</p><p> </p><p>【結果】</p><p> 初期評価と比較し6ヶ月後の体重が5.4±2.7kg減少,%IBW9.4±4.7%減少した(p<0,05).また,6MWTが66±33m減少した(p<0,05).</p><p> </p><p>【考察】</p><p> COPD患者では,%IBWが90%未満の軽度体重減少の場合は食事指導などの栄養治療の適応となるが,90%以上では正常体重と判断され経過観察となる.しかし,今回の結果より経過観察となる正常体重のCOPD患者が食欲低下を認めた場合,6ヶ月後には栄養障害に移行し運動耐容能が低下することが示唆された.今後は,CNAQを用いて食欲低下を評価し,栄養障害を予測し早期の食事指導を開始し,呼吸リハビリテーションを併用することで治療効果を高めていく必要がある.</p><p> </p><p>【倫理的配慮,説明と同意】</p><p>人を対象とする医学研究に関する倫理指針に基づき,各症例に対して説明と同意を得た.</p>
著者
安達 裕一 岡村 大介 森 雄司 櫻田 弘治 榊 聡子 湯口 聡 森沢 知之 高橋 哲也
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.195-201, 2020-05-01 (Released:2020-05-01)
参考文献数
16

【目的】長期集中治療管理を要する高齢心臓外科術後症例における,ICUでの身体機能と自宅退院の関連について検討する。【方法】待機的に心臓外科手術を施行後,3日以上のICU管理を要した65歳以上の高齢者278例(年齢75±6歳,女性42%)を,自宅退院群245例と非自宅退院群33例に分類した。ICUでの身体機能評価にはfunctional status score for the ICU(FSS-ICU)を採用した。自宅退院の規定因子についてロジスティック回帰分析により検討し,自宅退院可否を予測するFSS-ICU得点のカットオフ値をreceiver operating characteristic(ROC)曲線より算出した。【結果】ロジスティック回帰分析の結果,年齢,手術時間,ICU退室日のFSS-ICU得点が自宅退院の規定因子として抽出された。ROC曲線による自宅退院を予測するICU退室日のFSS-ICU得点のカットオフ値は21点であった。【結論】長期集中治療管理を要する高齢心臓外科術後症例の自宅退院には,ICU退室日の身体機能が関連した。