著者
木口 学 (2012) 榎 敏明 (2010-2011) RAJEEV KUMAR Vattakattu Ramacrishnan RAJEEVKUMAR VattakattuRamacrishnan ラジーブ・クマール バッタカツ・ラマクリシュナン
出版者
東京工業大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

酸化活性炭素繊維(ACFs)の磁化率、磁化を測定し、磁性の評価、NEXAFSの実験から磁性の起源となるFermi準位付近に存在する非結合電子状態の解析を行った。NEXAFSのスペクトルでは、ACFsを酸化して行くと次第にがバンドとエッジ状態の寄与は減少し、代わって、新たな非結合電子状態が発生し、この酸素誘起の状態は酸化の進行により強度を増して行く。π*バンドの酸化による減少は、酸化によりπ共役系がナノグラフェン内部まで破壊されて行くことを示唆しており、エッジ状態の減少もこのことによってもたらされている。代わって形成される酸素誘起の非結合電子状態は、グラフェン面の共役系が破壊され、酸素誘起の欠陥がグラフェン面に形成された結果、酸素誘起の欠陥領域に生じる非結合状態と理解される。未酸化ACFsでは、測定された磁化過程はS=1/2の挙動で基本的には記述され、スピン間相互作用は小さく、エッジ状態スピンは互いに独立に振舞う挙動を示している。酸化が進行すると磁化過程はS=1/2の挙動からずれだし、次第にS=3/2の挙動の近くなって行く。酸化ACFsにおいては前述のように磁性を担うスピンは酸素誘起の非結合状態に存在するスピンであり、S=3/2に近い磁化過程の挙動は酸素誘起の局在スピンが互いに強磁性相互作用により結合をしていること理解される。内部磁場がACFs試料中でGauss分布をするものと仮定してフィッティングを行った結果、最も酸化の進んだACFs(0/C=0.6)では、内部磁場は反強磁性(負領域)から強磁性(正領域)に渡って分布していることが見出された。また、内部磁場の平均値は強磁性α=2830 Oe.emu^<-1>.g.と見積もられた。
著者
谷垣 勝己 野末 泰夫 山中 昭司 榎 敏明 木村 薫 寺内 正己 有田 亮太郎
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

総括班は、配列ナノ空間を利用した新物質科学の企画・調査研究報告書"配列ナノ空間を利用した新物質科学:ユビキタス元素戦略"ならびにH19年度の領域研究申請書をもとにして、H19年-23年の5年間に渡り本格的な研究体制の下で十分に審議して重点課、題を決定し、遂行してきた。また、現在の状況で進めるべき研究を審議して、遂行可能な研究を効率的に進めてきた。H20年度-H21年度、H22年度-H24年度の2回に渡り、採用された公募研究班を加えた研究者と連携して研究を国際的に発展させると共に、領域研究を効率的に推進するために、総括班会議ならびに年2回の領域会議を開催して、現状を把握するとともに今後の研究計画を議論してきた。H23年度の研究で本領域は5年間の研究活動を終結する事ができた。H24年度は、5年間の特定領域研究のまとめ年となる。そこで、本領域研究では、総括班を中心とした5年間の研究計のまとめを行うために、5年間に得られた研究内容のまとめを行うとともに、将来の研究活動につながる活動をした。特に、今年度は昨年度の年度末に開催して特別研究会を中心としたNewsletterを刊行するとともに、5年間の研究活動を総括した報告書を編纂する事が主な事業であった。そのために、研究計画班に属している研究者の方と連絡を密にとるとともに、5年間に渡り総括班ならびに研究計画班の研究を外部から眺めて助言ならびに指導を頂いた本特定領域評価委員の方々とも連絡をとり、5年間の研究成果をまとめる報告書を発行した。また、本領域研究の今後の活動につながる議論などを行い将来の研究発展に備えるための調査ならびに会合をもった。
著者
榎 敏明 高井 和之 福井 賢一 若林 克法 横田 泰之 木口 学 福井 賢一
出版者
東京工業大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

ナノグラフェンの電子状態は端の幾何学構造により大きく影響を受ける。この問題は、固体物理学からは、質量のない相対論的Dirac電子の境界条件の問題としてまた、化学の視点からは、Clarの芳香族則の問題として捉えることができる。本研究では、STM/STS、AFM、Raman効果、NEXAFS、磁気測定、電子輸送測定を通して、ジグザグ端構造では、局在非結合状態が発生し、この状態は端の化学構造にも大きな影響を受けること、アームチェア端構造では電子波の干渉が起こり、電子的安定化が起ることを実験的に解明した。