著者
澤田 佳代 宇留賀 和義 榎田 洋一 島田 隆 森 行秀 小山 智造
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2004年春の年会
巻号頁・発行日
pp.529, 2004 (Released:2004-08-20)

超臨界CO2中でのtri-n-butylphosphate(TBP)硝酸錯体による酸化ウランの溶解反応について検討を行った結果、濃硝酸とTBPを同体積混合して作成したTBP硝酸錯体(TBP: 2.7 M、HNO3: 4.9 M、H2O: 1.6 M)では、ウランに対して錯体中のHNO3比が4となる錯体添加量のときにウランの抽出率は80%となり、抽出液中には亜硝酸の存在が認められた。
著者
島田 隆 石原 伸夫 森 行秀 小山 智造 榎田 洋一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.447, 2003

超臨界流体を用いたSuper-DIREX再処理法では,超臨界相に抽出されたUを水相に逆抽出するプロセスがある.これを連続的に行う類似の実証例はほとんどなく,Uでの実証を行うため,試験装置を製作し,模擬物質での確認を行った.Euを模擬物質とした試験で,超臨界相に抽出されたEuのほとんどを,水相側に回収できることを確認した.Uでは超臨界相/水相での平衡分配比,総括物質移動係数も測定しており,これらのデータを用いて,Uでの実証を予定している.
著者
榎田 洋一 澤田 佳代 杉山 貴彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

アクリルニトリルは数十年間にわたって U と Sb を含む触媒で合成されてきた,この廃触媒は放射性廃棄物であり合理的処分が必要である.しかし,U は長半減期で化学毒性と放射性毒性のために浅地中への直接処分が難しく, Sb の化学毒性も考慮を要する.従って,触媒担体から U と Sb を除染した後,触媒担体を利用してガラス固化する方法を提案した.目標はシリカ担体の細孔から高収率で U と Sb を回収することと浅地中処分に適切な最終廃棄体とすることであった.成果として,ホウケイ酸ガラスの相分離を利用する方法と Sbを塩化揮発した後に U を回収する方法を考案できた.実触媒に対する実証実験を行い, U に対して 99.3%以上,Sb に対して 97%以上の回収率での除染を確認できた.また,最終廃棄体であるガラス固化体試料について,脱イオン水による浸出試験を実施した結果,浸出液濃度は誘導結合プラズマ発光分光法の検出限界以下である 0.1ppm 以下とできた
著者
澤田 佳代 平林 大介 榎田 洋一
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物資源循環学会研究発表会講演集 第23回廃棄物資源循環学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.583, 2012 (Released:2013-07-08)

有機合成に用いられたウラン触媒は,ウランとアンチモンの複合酸化物をシリカに担持したものであり、鉱酸による浸出が不可能な程、非常に化学的に安定な触媒である。これまでに,ウラン触媒を塩化揮発処理することで,複合酸化物からアンチモンを分離し,ウランを酸溶解が可能な酸化ウランとして回収できることを示した。本報では,ウラン触媒の塩化揮発処理で用いる塩化水素および酸素の濃度が塩化揮発処理に及ぼす影響について検討した結果を報告する。 塩化水素濃度が高いほど,アンチモンの塩化揮発速度が大きいが、一方で,塩化水素濃度が高い条件では試料中のウランの一部がUO2となってしまった.生成物を酸により溶解しやすいU3O8に留めるためには,系内に酸素を加えることが有効であり、 6 vol%塩化水素-0.1 vol%酸素とすることで,処理速度を低減せずに触媒中のウランをU3O8とすることが可能であった.
著者
山本 一良 津島 悟 榎田 洋一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

超臨界流体中での大きな同位体効果が観測されたクリプタンド(2B,2,1)を固定相とし,超臨界二酸化炭素にメタノールを添加して塩化チウムを溶解させた流体を移動相とする系について,ブレークスルー方式によるクロマトグラフィー実験を行うことにより減圧して得られる溶出液中のLiの同位体比を誘導結合プラズマ質量分析計で測定した.溶出曲線におけるLi濃度とLi同位体比より,平衡分離係数と理論段相当高さを解析により算出し,圧力によって変化する溶媒和効果との相関を試みた.得られた平衡分離係数は,一例としては,10MPaの場合に1.025±0.009であり,理論段相当高さは約10mmであった.平衡分離係数については,超臨界二酸化炭素を用いずメタノール溶媒だけを用いた実験結果は1.040であったので,溶媒和効果の影響があり,圧力を変えることで平衡分離,係数を制御できることがわかった.圧力を高めた場合には,樹脂に対する吸着量が大きくなる傾向があり,理論段相当高さを小さくできることがわかった.溶出曲線におけるLi濃度とLi同位体比より,平衡分離係数理論段相当高さおよび吸着容量を解析により算出し,二酸化炭素モル分率によって変化する溶媒和効果との相関を試みた.この結果,二酸化炭素モル分率が小さくなると溶媒和の効果が大きくなり平衡分離係数を大きくできるが,吸着容量は小さくなることから,工学的な同位体分離においては,二酸化炭素モル分率すなわち溶媒和の大きさに最適値が存在することがわかった、さらに,超臨界二酸化炭素中の溶媒和の効果を理論的に解析するために,クラウンエーテルやポリエチレングリコールのように超臨界二酸化炭素に親和性を有する分子をモデル分子として,Gaussian 98による量子化学計算を実施し,実験結果を定性的に説明する結果を得た.