著者
島田 隆史 金生 由紀子 笠井 清登 佐々木 司
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.201-204, 2012 (Released:2017-02-16)
参考文献数
19

近年行われた大規模な双生児研究から,自閉症スペクトラム障害(ASD)において早期環境要因の関与は従来考えられていたよりも大きい可能性が示唆された。一方で,ASDをはじめとする,発達障害の有病率増加が問題となっており,それにはpopulation全体に影響するような環境要因が加わっている可能性が考えられる。そのような環境要因として,近年増加の一途をたどっている高齢出産や,それに伴う体外受精や顕微授精といった生殖補助医療(ART)の増加など,受精―妊娠に関わる環境の変化が候補に挙がる。これまでに,ART とASDとの関連ついての研究が複数行われているが,相反する結果が報告され,その関連は明らかでない。また注意欠如/多動性障害とARTについては,弱いながらも有意な関連を認めるとする報告がある。1990年代以降,わが国で急激に増加してきているARTは,自然妊娠とは異なり人の手が加わり,特に胚操作の時期とエピゲノム形成や初期の体細胞分裂の時期が重なることからも,発達障害を含めたART児の長期的なフォローアップ調査は重要である。このような研究から,ARTが更に安全な治療法として発展することが望まれている。
著者
三宅 弘一 島田 隆
出版者
日本医科大学医学会
雑誌
日本医科大学医学会雑誌 (ISSN:13498975)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.150-156, 2012 (Released:2012-05-30)
参考文献数
10

Viral vectors are powerful tools for gene delivery and expression both in vitro and in vivo. Recently, many types of viral vectors have become commercially available and are easily used. It is important to choose appropriate viral vectors according to target cells and organs. In this technical note, we describe the characteristics of viral vectors and how to choose the appropriate viral vector to transduce target cells in vitro.
著者
舘内 由枝 島田 隆美子 浦野 洋子 佐藤 エイ子 永塚 智恵 角田 美智子 関根 智子 松坂 利之 樋口 進
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.211-215, 2004-04-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
17

精神疾患患者における, 園芸を用いた作業療法の心理的効果を検討するため, 当院精神科開放病棟入院患者および精神科デイケア通院患者を対象に, 園芸を用いた作業療法前後に感情プロフィール検査(POMS)およびバイタルサイン(血圧, 脈拍)の測定を行った. 一般健康者のPOMS各尺度得点が50点前後を示すのに対し, 患者ではネガティブな感情を表わす5尺度が高く, これらとは負の相関を示す活気の尺度が低いといった谷型のパターンを示した. 園芸を用いた作業療法前後のPOMS得点を疾患別に分類した結果, 統合失調症患者では変化がほとんど見られなかったのに対して, それ以外の患者では, 園芸を用いた作業療法後にネガティブな感情の低下と活気の上昇が見られた. これらの結果から, 1) 精神疾患患者はPOMSにおいて特徴的なパターンを示すこと, 2) 園芸を用いた作業療法は統合失調症以外の患者に短期的な感情・気分の改善傾向をもたらすことなどが示唆された. 今後, より大きな集団での追試と, 繰り返しの介入効果についての検討がなされる必要がある.
著者
島田 隆次 市井 誠 早瀬 康裕 松下 誠 井上 克郎
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ソフトウェア工学(SE) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.112, pp.31-38, 2008-11-12

クラスやメソッドなどソフトウェアの構成要素であるソフトウェア部品を再利用することで,ソフトウェアの品質や生産性が向上するといわれている.開発者はソフトウェア部品検索システムを用いたキーワード検索により再利用可能なソフトウェア部品を得ることができる.しかしキーワード検索を用いた再利用には,開発者が意識しないと検索が行われないなどの問題点がある.それに対して,開発者の指示なしに自動的にソフトウェア部品を検索する手法が提案されているが,その手法では入出力仕様が完全に一致するものを検索するため,入出力仕様に変更を加えれば再利用できるような部品は発見できない.そこで本稿では,そのようなソフトウェア部品も検索できるソフトウェア部品の自動推薦手法を提案する.提案手法では,ソースコード中に数多く現れるコメントや識別子を利用し,自然言語に対する検索手法である LSI を応用して暖昧さを許容する検索を行うことで,多少の変更を加えれば再利用できるようなソフトウェア部品も推薦することができる.また,提案手法を実装したソフトウェア部品の自動推薦システムを作成した.Reusing software components like classes and modules improves software quality and productivity. Software developers often retrieve available components by keyword search using software component retrieval system. However the developers who will not search for components can not retrieve reusable components. To address this issue, software component retrieval technique without developer's instruction was proposed. However developers can not discover available components that need change using the technique because it searches components having same input and output specification to requested one. In this paper, we propose the automatic software component recommendation technique that can retrieve such software component. Proposed technique vaguely retrieves reusable components including the ones that requires small modification to reuse based on the LSI technique using comments and identifiers in source code. In addition, we have developed the automatic software component recommendation system that implements the proposed technique.
著者
澤田 佳代 宇留賀 和義 榎田 洋一 島田 隆 森 行秀 小山 智造
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集 2004年春の年会
巻号頁・発行日
pp.529, 2004 (Released:2004-08-20)

超臨界CO2中でのtri-n-butylphosphate(TBP)硝酸錯体による酸化ウランの溶解反応について検討を行った結果、濃硝酸とTBPを同体積混合して作成したTBP硝酸錯体(TBP: 2.7 M、HNO3: 4.9 M、H2O: 1.6 M)では、ウランに対して錯体中のHNO3比が4となる錯体添加量のときにウランの抽出率は80%となり、抽出液中には亜硝酸の存在が認められた。
著者
島田 隆 石原 伸夫 森 行秀 小山 智造 榎田 洋一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.447, 2003

超臨界流体を用いたSuper-DIREX再処理法では,超臨界相に抽出されたUを水相に逆抽出するプロセスがある.これを連続的に行う類似の実証例はほとんどなく,Uでの実証を行うため,試験装置を製作し,模擬物質での確認を行った.Euを模擬物質とした試験で,超臨界相に抽出されたEuのほとんどを,水相側に回収できることを確認した.Uでは超臨界相/水相での平衡分配比,総括物質移動係数も測定しており,これらのデータを用いて,Uでの実証を予定している.
著者
森本 浩之 水谷 陽子 浅井 友詞 島田 隆明 水谷 武彦
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.B0110, 2007 (Released:2007-05-09)

【はじめに】人間のバランスは視覚、前庭覚、体性感覚の情報を入力し、中枢で処理した後、運動神経を介して出力している。その中でも視覚情報は重要な役割を果たしており、全感覚の約60%を占める。動作の中で頭部や眼球が動き、網膜の中心の像が2~4°ずれると見えにくくなる。そのため、vestibuloocular reflex:VORとcervicoocular reflex:CORの働きで、視覚情報を補正している。また眼球追視(smooth pursuit:SP)も複雑な脳での処理システムにより調節している。今回、立位バランスにおける頭部・眼球運動に着目し、重心動揺計を用いて視覚情報の刺激(SP)や、VOR・CORの影響について検討したので報告する。【方法】対象は、同意を得た20歳~34歳(平均:23.4歳)の健常な男女10人。重心の測定は、Neurocom社製BALANCE MASTERにより立位時の重心を評価した。被検者はバランスマスター上に立ち、眼から70cm前方に視標追視装置を設置し固視点を映し出した。負荷方法は1)固視2)追視運動(SP)3)固視したままの頚部の左右回旋(VOR・COR)の3条件にて行った。さらにバランスマスター上にFORMを置き、同様の3条件の計測を行い、各条件間の総軌跡長を比較した。また、計測環境は、その他の外乱刺激が入らないよう暗室で行い、頚部回旋はメトロノームを用いて1秒間に1動作の設定とし、頚部の回旋範囲は60°に設定した。各設定時間は10秒間とした。【結果】FORMなしの立位時での重心の総軌跡長は、5.85±2.06cm、追視運動時の重心の総軌跡長は、5.38±2.67cm、頚部回旋時の重心の総軌跡長は、5.42±2.01cmであった。また各条件間に有意差はなかった。FORMありの立位時での重心の総軌跡長は、18.10±3.08cm、追視運動時の重心の総軌跡長は、17.77±4.81cm、頚部回旋時の重心の総軌跡長は、15.18±3.44cmであった。SP群とVOR・COR群のみ有意差が認められた。また、FORMの有無での各条件間に有意差を認めた。【考察】FORMの使用で体制感覚入力の抑制を行った事により、体制感覚が立位バランスに大きな影響を与えていることが示唆された。また、体制感覚の抑制で、立位保持とVOR・COR群に有意差がなかったことから、視覚情報と前庭器官のみでも立位バランスを保持することが可能であると考えられる。しかし、VOR・COR群と SP群に有意差があったことから、視覚情報の混乱と体性感覚の抑制により動揺が大きくなったと考えられる。これは、日常生活において、突然の視覚情報の変化、例えば振り向き動作時の風景の変化に視覚情報が対応しきれずにバランスを崩す可能性があると考えられる。
著者
松本 光司 佐久間 雅久 島田 隆明
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.28, 2012

<b>【目的】 </b>我々は高校野球三重県大会においてメディカルサポートを実施しているが、その対象は一部の選手に限られる為、選手の状況を把握する為に、アンケート調査を実施し、選手の障害予防への介入方法の検討を行った。<br><b>【対象】 </b>三重県高校野球連盟に加盟の南勢地区を中心とする13校の硬式野球部の選手300名。<br><b>【方法】 </b>我々が各高校を訪問し、調査の目的、記入方法を説明し、現地にてアンケート用紙を回収した。アンケートは無記名の質問方式にて、(1)基本情報(学年、身長、体重、ポジション、野球歴、他スポーツ歴)、(2)理学療法士(以下:PT)の認知度、PTとの関わり、(3)障害(現在、過去の怪我・疼痛の有無、怪我をして受診する施設)、(4)生活習慣(練習時間、睡眠時間、ストレッチング(以下:STG)、食事・水分摂取)について調査した。また、怪我・疼痛とSTGの関係性について多変量解析(主成分分析)を用いて検討を試みた。<br><b>【結果】 </b>(1)基本情報 1)学年:1年生141名、2年生159名。2)ポジション:投手60名、捕手26名、内野手121名、外野手93名。3)野球歴:小学校から265名、中学校から35名。4)野球以外のスポーツ歴:ない138名、ある162名。<br>(2)PTの認知度およびPTとの関わり PTの知名度に関して、知る選手163名、知らない選手137名。PTと関わった事がある選手60名であった。また、PTの治療・指導に興味がある選手は182名であった。<br>(3)障害 怪我の既往歴がある選手は221名であり、野球肘83名、骨折72名、肉離れ50名、野球肩42名、腰痛19名、疲労骨折14名、腰椎分離症12名、捻挫10名、半月板損傷9名、腰椎ヘルニア9名、靱帯損傷8名、オスグッド4名、シンスプリント2名であった。<br> 現在怪我をしている選手は56名であり、野球肘15名、野球肩7名、腰椎ヘルニア・捻挫・腰椎分離症・膝痛が各4名、肉離れ3名、疲労骨折・腰痛が各2名であった。現在疼痛がある選手は165名、その内訳は腰痛61名、肘痛58名、肩痛51名、足部痛30名、手首痛16名他となった。そして、93名(56.4%)は痛みについて監督・コーチは把握していない結果となった。怪我・痛みに対して受診する施設は整骨院・整体師・鍼灸師が230名、病院が116名、PTによる治療が27名という結果であった。<br> 障害とSTGの関係について主成分分析の解析結果は、怪我によって、STGに関する認識や、実施時間が増える傾向であった。<br>(4)生活習慣 1)平均睡眠時間:5~6時間192名、7時間以上102名、3~4時間6名。2)部活動以外でのSTG実施状況:毎日実施115名、全くしない90名、週2・3日61名、週4日以上34名。3)STG実施時間:5~10分89名、10~15分57名、5分以内43名、15分以上21名。4)食事の摂取状況:主に朝食を食べない選手が多かった。5)水分摂取状況:練習中と試合中で違いがあり、試合中はスポーツドリンクを摂取している選手が多かったが、摂取量に気を付ける選手の割合は低かった。<br><b>【まとめ】 </b>今回、野球選手の障害状況と生活習慣の実態が明らかとなった。<br> 結果から、大会期間中だけでなく、三重県高校野球連盟と緻密な連携を図り、定期的なメディカルチェックやSTG講習会を実施し、選手個人の状態が把握できるような支援体制の構築が必要だと考える。
著者
安藤 芳明 亀山 邦夫 唐島田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.16, no.4, pp.258-263_1, 1975
被引用文献数
4

グリシンは5%の高濃度においてもボツリヌスA, B, E各型菌芽胞の発芽を完全に阻害することはできないが, 発芽後の outgrowth をE型に対しては2%で, AおよびB型に対しては5%で完全に阻止した. 複雑な培地 (BHIおよびTPG) における培養実験の結果では, 生育を完全に抑制するグリシンの濃度は, E型菌ではpH 6.0において0.5%, pH 7.2において2%であるが, AおよびB型菌では培地のpHに関係なく5%であった. グリシンと市販許可濃度以下の亜硝酸ナトリウムまたはソルビン酸との併用による相乗効果はほとんど認められなかった.
著者
島田 隆 松井 嶺迪 西村 正史 石田 安弘 森 行秀 黒田 一彦
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会和文論文誌 (ISSN:13472879)
巻号頁・発行日
vol.10, no.4, pp.310-322, 2011 (Released:2011-11-30)
参考文献数
6

This paper discusses the reprocessing plant concept suitable for the transition period from the Light Water Reactors (LWRs) to the Fast Breeder Reactors (FBRs). This transition requires the reprocessing of spent fuels in order to supply an adequate volume of fissile plutonium (Pu-fissile) for the FBRs. The transition period would continue for more than 60 years, and the reprocessing plant should match with the change in the power generation plan during the transition period. The ability to supply Pu-fissile has been evaluated for two plant concepts. One is the independent-type concept, which contains two processes for reprocessing either LWR or FBR fuels. The other is the modularized-type concept, which contains only one process for reprocessing both the LWR and FBR fuels. The result showed the superiority of the modularized-type concept over the independent-type concept, because the former can enhance the ability to supply Pu-fissile with less reprocessing capacity. Therefore, the reprocessing plant suitable for the transition period is that based on the modularized-type concept.