著者
富岡 修 今井 智紀 目黒 義弘 中島 幹雄 津島 悟 山本 一良 和田 隆太郎 山本 誠一
出版者
一般社団法人 日本原子力学会
雑誌
日本原子力学会 年会・大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.511, 2005

次世代の革新的核燃料サイクルにおける廃棄物処理処分のコスト低減や安全性の向上のため,ウランやプルトニウム汚染物を除染する方法の開発が重要である.著者らは二次廃棄物発生量の少ない超臨界二酸化炭素リーチング(SFL)法を技術的な基盤とし,それらの汚染物を除染する方法を開発している.本研究では,プルトニウム除染へのSFL法の適用性を調べることを目的とし,硝酸プルトニウムPu(NO<SUB>3</SUB>)<SUB>4</SUB>を付着させた海砂試料から硝酸-TBP錯体を反応剤として含むSF-CO<SUB>2</SUB>を用いてプルトニウムを除去し,それに及ぼすSFL操作条件の影響を明らかにした.TRU汚染物として硝酸プルトニウム付着海砂試料を用い,SFL法により除染を行った結果,約81%のプルトニウムを分離することができ,4価プルトニウムイオンと硝酸,TBPからなる錯体がSF-CO<SUB>2</SUB>中に溶解し,固体試料からプルトニウムを除去できることを明らかにした.プルトニウムの分離反応は30分以内にほぼ平衡に達しており,それ以上反応時間を長くしても除染率は向上しなかった.検討した圧力,反応剤使用量の範囲では,これらの除染率への影響は小さかった.若干ではあるが,温度上昇とともに除染率は向上した.
著者
田辺 哲朗 朝倉 大和 上田 良夫 山西 敏彦 田中 知 山本 一良 深田 智 西川 政史 大宅 薫 寺井 隆幸 波多野 雄二
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2007

総括班では、各計画研究班の研究成果を総括すると共に、以下の会合に出席または企画開催し、成果の公表、取りまとめ、総合化をはかると同時に、成果についての評価も行うことにより、目標とする安全かつ経済的なトリチウム燃料システムの設計を視野に、必要な研究課題あるいは取得すべきデータ等を各研究班に提示し、研究のフィードバックを行った。また最終年度として、成果のとりまとめを行い最終報告書を作成した。今年度の具体的な実績として1.平成24年5月20-25日 独国アーヘンにて開催された第15回「制御核融合炉におけるプラズマ壁相互作用」国際会議において招待講演を行うと共に、国際組織委員、国際プログラム委員として会議を主導、また領域から多数発表2.平成24年5月29-31日 独国Tergeseeにて開催された第10回核融合炉材料中の水素同位体挙度国際ワークショップにて国際組織委員、国際プログラム委員として会議を主導すると共に、領域の成果を発表3.平成24年8月10・11日 ウインク愛知にて、第8回公開シンポジウム科研特定領域「核融合トリチウム」最終成果報告会を開催4.最終報告書を作成し関係者に配布すると共に、ホームページに掲載http://tritium.nifs.acjp/results/pdf/report_of_25.pdf5.平成24年9月19日広島大学にて開催された、日本原子力学会、核融合部会セッションにて「核融合炉実現のためのトリチウム研究報告と新展開に向けた提案」のシンポジウムを企画を行い研究班の実験実績のとりまとめ、その成果発表、知識の共有化、情報の公開をはかるとともに、総括班としてA01,A02,B01,B02,C01,C02各班の研究活動を掌握し、目標とする安全かつ経済的なトリチウム燃料システムの設計を視野に成果の評価を行った。そしてこれらの情報はすべて本領域のホームページhttp://tritium.nifs.ac.jp/に掲載、常時updateしながら、本領域で得られている情報の発信に努めた。
著者
山本 一良 津島 悟 榎田 洋一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

超臨界流体中での大きな同位体効果が観測されたクリプタンド(2B,2,1)を固定相とし,超臨界二酸化炭素にメタノールを添加して塩化チウムを溶解させた流体を移動相とする系について,ブレークスルー方式によるクロマトグラフィー実験を行うことにより減圧して得られる溶出液中のLiの同位体比を誘導結合プラズマ質量分析計で測定した.溶出曲線におけるLi濃度とLi同位体比より,平衡分離係数と理論段相当高さを解析により算出し,圧力によって変化する溶媒和効果との相関を試みた.得られた平衡分離係数は,一例としては,10MPaの場合に1.025±0.009であり,理論段相当高さは約10mmであった.平衡分離係数については,超臨界二酸化炭素を用いずメタノール溶媒だけを用いた実験結果は1.040であったので,溶媒和効果の影響があり,圧力を変えることで平衡分離,係数を制御できることがわかった.圧力を高めた場合には,樹脂に対する吸着量が大きくなる傾向があり,理論段相当高さを小さくできることがわかった.溶出曲線におけるLi濃度とLi同位体比より,平衡分離係数理論段相当高さおよび吸着容量を解析により算出し,二酸化炭素モル分率によって変化する溶媒和効果との相関を試みた.この結果,二酸化炭素モル分率が小さくなると溶媒和の効果が大きくなり平衡分離係数を大きくできるが,吸着容量は小さくなることから,工学的な同位体分離においては,二酸化炭素モル分率すなわち溶媒和の大きさに最適値が存在することがわかった、さらに,超臨界二酸化炭素中の溶媒和の効果を理論的に解析するために,クラウンエーテルやポリエチレングリコールのように超臨界二酸化炭素に親和性を有する分子をモデル分子として,Gaussian 98による量子化学計算を実施し,実験結果を定性的に説明する結果を得た.