著者
金子 博和 江畑 智希 横山 幸浩 伊神 剛 山口 淳平 梛野 正人
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.77, no.8, pp.2048-2052, 2016 (Released:2017-02-28)
参考文献数
10

症例は65歳,男性.肝S6の限局性肝内胆管拡張を認め当院紹介.ERCPではB6の限局性胆管狭窄と末梢の胆管拡張を認めたが,CTでは腫瘤像を認めなかった.ENBDをB6に留置し,6回胆汁細胞診を提出したがいずれも悪性所見を認めなかった.PET-CTでも異常集積を認めなかったため,炎症性胆管狭窄と考え経過観察となった.その後,徐々にCA19-9が上昇し,腹部CTで肝S5/6の腫瘤性病変が顕在化してきたため,初回受診時から11カ月後,肝後区域切除を施行した.病理組織学的所見は中分化管状腺癌であった.肝内胆管拡張のフォローアップの重要性を改めて認識した1例を経験したので報告する.
著者
横山 幸浩
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.181-185, 2022-10-15 (Released:2022-11-15)
参考文献数
7

高度侵襲消化器外科手術では,術後感染性合併症の制御が大きな課題である.臨床の現場では,画像検査などで明らかな感染のフォーカスがなく,血液培養検査でも細菌が検出されていないのにもかかわらず,熱発や炎症反応高値が見られることをよく経験する.おそらくこの病態の多くが,あるいは少なくとも一部は血液培養で検出されない程度の微量の細菌が血中に存在する潜在的菌血症であると推測される.われわれは少なくとも消化器外科手術においては,その原因の多くが手術侵襲に伴う腸内細菌叢の乱れや,腸管バリア機能の破綻により宿主の腸内細菌が血液中やリンパ液中に入り込むことによる潜在的バクテリアルトランスロケーション(OB‐T,occult‐bacterial translocation)であると考えている.本稿では,高度侵襲消化器外科手術を受ける患者を対象に行ったO‐BTに関するいくつかの臨床研究の結果を紹介し,その臨床的意義および今後の課題について概説する.
著者
二村 雄次 佐野 力 安部 哲也 梛野 正人 横山 幸浩 國料 俊男 千賀 威 西尾 秀樹
出版者
愛知県がんセンター(研究所)
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

大腸癌皮下発癌モデルに対してNek2 siRNAとS1併用投与群はNek2 siRNA単独投与群より有効であった。Nek2 siRNAとCDDP併用投与群においても有効であり、相加効果であった。ラットでのNek2 siRNAの血中移行は局所投与後15minで最高となり60minでほぼ消失していた。またNek2 siRNAの毒性試験より無毒性量(NOAEL : No Obeserved Adverse Effect Levels)は3.7(mg/kg)で、Nek2 siRNAの最大推奨初期投与量(MRSD : Maximum Recommended Starting Dose)は0.0285(mg/kg)であった。