著者
原田 泰 安武 伸朗 横溝 賢
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第65回春季研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.214-215, 2018 (Released:2018-06-21)

リアルタイムドキュメンテーション(RTD) の目的の一つである「議論の見える化」が場の活性化や相互理解に有効であると言われてはいるが、視覚化すれば自動的に効果が現れる訳ではない。RTD 表現物が道具である以上、そのリテラシー(読み/描き)が問われることになる。本項では、RTD をデザイン研究の手法に昇華させるため、RTD スキルの観点から今後の課題についてまとめた。RTDプロセスを俯瞰すると、対象となる出来事の捉え方からアウトプットの方法までを図解し、各項目における課題を指摘することができた。それは(1)何を記録の対象とするか(2)事前打ち合わせの有無(3)スクライバーの記録対象に向ける視点(4)何を表現として残すか(5)メディア表現のスキル(6)スクライバー以外の関与、の6項目である。これらからRTDはグラフィックデザインのアプリケーションであり、グラフィックデザインのスキルがRTDのクオリティに寄与すると言える。また、このプロセスから導き出されるRTDスクライバーの人材観、RTDの将来的な活用方法についても言及した。さらに、このプロセスから導き出されるRTDスクライバーの人材観はそのままデザインの研究や学びに適用でき、RTDの将来的な活用方法についてもその視座が明らかにした。
著者
横溝 賢 赤澤 智津子 澤 孝治 吉田 和裕
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.18, no.18, pp.44-49, 2013-03-30

千葉市のバス事業会社・ビィー・トランセホールディングス株式会社の依頼で千葉工業大学のデザイン専攻の学生と、神田外語大学の語学専攻の学生らが共同してバスのラッピングデザインをするワークショップ(以下、WS) が実施された。WSはデザインの非専門家を含むチームでデザインを進めることから、専門知識を必要とせず、参加者全員が同じ立場でデザインを思考するためのフレームワークが必要であると考え、「円集知マップ」を考案し、本WSで実践的活用を試みた。円集知とは「円環に集約された個々人の知識」を意味する造語である。この円集知マップを活用した結果、各チームは個々人のバスの経験と知識(以下、経験知)を統合したマップをチームのビジョンとして共有し、独自のデザイン解を導き出すことができた。本稿では、円集知マップ考案の経緯を呈示し、実践的活用を通してその有効性について考察する。
著者
横溝 賢 鮎川 恵理 岩村 満
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1_26-1_31, 2016-02-01 (Released:2016-04-19)
参考文献数
5

奥入瀬自然観光資源研究会は、青森県奥入瀬渓流のコケを観光資源化するべく活動している団体である。本研究では、同団体のNPO法人化に伴う組織デザインから法人のビジュアルアイデンティデザインまで展開したプロセスについて概説する。全体のデザインプロセスは、組織デザインにおいてワークショップを戦略的に活用し、①導入②知る活動③創る活動④まとめの4段階で組織化を行った。①導入と②知る活動では、メンバー間のビジョン統合作業を行い、③創る活動と④まとめでメンバー個々人の専門性を活かした枠組み─事業コンセプトを整理した。組織のビジュアルアイデンティティは、この事業コンセプトからデザインキーワードを抽出し、ロゴのデザイン展開を行った。ワークショップではメンバー自身が合意形成のプロセスを組み立てるようファシリテートした。これにより、組織の連帯性だけでなく自律性を形成することができた。また、メンバーとの事業コンセプトづくりによってビジュアルアイデンティティのコンセプトに関しても相互理解が深まり、ロゴデザインのコンセンサスまで円滑に進めることができた。
著者
横溝 賢
出版者
千葉工業大学
巻号頁・発行日
2017-03-22

平成28年度
著者
横溝 賢 村井 麻里子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究作品集 (ISSN:13418475)
巻号頁・発行日
vol.15, no.15, pp.24-27, 2010-03-30
被引用文献数
1

本作品は、愛媛県の伝統工芸である伊予水引の魅力を国内外に伝えることを目的に、商品の企画設計からブランドアイデンティティまでトータルにデザイン開発を行ったものである。従来の結納飾りや、金封飾りをリデザインするのでは、これまでの伝統工芸品の焼き直しである。主に慶事に用いる水引の伝統的風習を継承しつつも、現代の生活様式にあわせた、新しい「祝い」の様式を提示するテーブル周りの水引工芸品を企画した。水引には、贈り物に紅白の水引を掛ける伝統的作法としての文化的価値のほかに、しなやかな張りを持つ紙紐素材の技術的特性もある。本作品では、水引の歴史的・文化的価値がユーザーに伝わるようブランドのコンテクスト作りを行い、同時に水引素材の質的特性を効果的に用いたデザイン開発を行っている。