著者
横谷 馨倫 中西 朋子 千葉 剛 佐藤 陽子 梅垣 敬三
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.55, no.4, pp.183-187, 2014-08-25 (Released:2014-09-11)
参考文献数
13
被引用文献数
3 4

グルコサミン(G)とコンドロイチン硫酸(CS)がワルファリンの抗凝固能に与える影響を肝CYP系に着目してマウスのin vivo実験系で検討した.GとCSは飼料中に0.3%および1% (w/w)で添加し,マウスに2週間摂餌させ,最後の2日間ワルファリンを投与した.GとCSの一日摂取量は,0.3%群では443 mg/kgと464 mg/kg,1%群では1,523 mg/kgと1,546 mg/kgであった.その結果,GとCSはいずれもワルファリンの抗凝固能を増強せず,肝CYP系にも影響しなかった.以上の結果から,GとCSは,それら自身では肝CYP誘導を介したワルファリンの抗凝固能の増強は起こさないことが示唆された.
著者
横谷 馨倫
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.51, no.7, pp.708, 2015 (Released:2017-03-22)
参考文献数
3

様々な健康効果をうたったハーブやダイエタリーサプリメント(herb and dietary supplements:HDS)の利用が世界中で広がっており,日本でもその利用が増えている.HDSに添加されているハーブの原材料は,植物の根や茎,葉などであるが,有効成分ならびにその含有量は,利用された植物の部位,生育した産地や収穫時期により異なる.そのためHDSの安全性は,製品としても原材料としても十分に検証されているとは言い難く,近年のHDS利用者の増加に伴い,健康被害の報告も増えている.多くの消費者は「HDSは天然・自然で安心・安全,体によい」との思いから,HDSを安易に利用しているが,実際,誤った植物部位の使用,有害物質,農薬,重金属,医薬品成分の混入などによる健康被害の事例が報告されている.今回は,この10年間でHDS摂取による肝障害が7%から20%に増加したという,安易なHDS摂取に警鐘を鳴らす,最近の研究結果を紹介する.なお,本稿は下記の文献に基づいて,その研究成果を紹介するものである.1) Gershwin M. E. et al., Ann. N.Y. Acad. Sci., 1190, 104-117 (2010).2) van Breemen R. B. et al., Am. J. Clin. Nutr., 87, 509S-513S (2008).3) Navarro V. J. et al., Hepatology, 60, 1399-1408 (2014).
著者
橋本 洋子 佐藤 陽子 中西 朋子 横谷 馨倫 梅垣 敬三
出版者
特定非営利活動法人 日本栄養改善学会
雑誌
栄養学雑誌 (ISSN:00215147)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.39-47, 2011 (Released:2011-03-30)
参考文献数
25
被引用文献数
1

【目的】健康食品やサプリメントの利用が普及する中,その利用は幼児にまで広がっている。幼児のサプリメント利用の判断は主に母親に委ねられている。そこで,本研究は,幼児を持つ母親の食や栄養,サプリメントに関する知識の実態とその情報源を把握することとした。【方法】2008年10月11日-2009年1月26日に6都県(青森,山形,茨城,埼玉,東京,千葉)の幼稚園および保育所に通う幼児の親1,844名を対象とし,自記式質問紙法によるアンケート調査を行った。回答者のうち母親1,050名を解析対象者とした(有効回収率55.7%)。【結果】幼児にサプリメント(錠剤やカプセル状)を利用させたことのある母親は9.5%であった。幼児を持つ母親は,5大栄養素の基礎的知識はよく理解していたが,特定成分の摂取量と生体影響の関係を踏まえた有効性や安全性に誤解が見られた。また,国が実施している健康食品に関する制度や栄養調査結果に関する知識が乏しかった。さらに,母親が栄養や食に関する判断を行う際,最も参考にしている情報源は,テレビ・インターネットであり,政府機関の発行物はほとんど参考にされていなかった。【結論】幼児を持つ母親は,栄養や食に関する基礎的な知識は持っていたが,公的な情報が充分に伝わっていない現状が明らかとなった。公的もしくは専門機関からの正しい情報の積極的な提供が必要と考えられた。