著者
橋口 捷久
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.68-74, 1985-06-20 (Released:2010-07-16)
参考文献数
23

In this study, it was hypothesized that (1) both task- and performance-contingent rewards would undermine intrinsic motivation for high-interest task but enhance it for low-interest one, that (2) in the high-interest task conditions, performance-contingent rewards would undermine intrinsic motivation more than task-contingent ones, and that (3) in the low-interest task conditions, performance-contingent rewards would enhance intrinsic motivation more than task-contingent ones. Ninety female undergraduate subjects were offered task-contingent (300 yen for participating in the task for 8 min) or performance-contingent (piece rate: 15 yen for each 10 characters deciphering) rewards, or no reward, for working on a decipherment task called a cipher game of high or low interest. Results indicated that both task- and performance-contingent rewards, which did not differ from each other, undermined intrinsic motivation for high-interest task. Task-contingent rewards enhanced intrinsic motivation for low-interest task, but performance-contingent rewards did not affect it. These results were discussed in terms of a general approach to the self-perception of intrinsic motivation.
著者
橋口 捷久
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.123-131, 1974

本研究は, リスキー・シフト現象を解明することを目的とした. すなわち, 集団内の意思決定者の数を変えることによって, その意思決定看が自分も含めて他の集団成員に対して感じる責任の程度を操作して, 集団討議状況に存在すると仮定されている責任の拡散のメカニズムを探索しようとしたものである. 課題は簡単な確率選択をする賭けである. 被験者は女子商業高校1年生 (15~16才) の130名, である. 本研究結果を要約すれば, つぎのとおりである.<BR>1. 集団内の意思決定者数が多くなるにしたがって, 換言すれば, 意思決定者が自分も含めて他の集団成員に対して感じる責任が小さくなるにしたがって, その決定内容はよりリスキーとなった.<BR>2. 集団内の意思決定者が唯一人の場合, その意思決定者は集団状況以前の個人決定よりも, コーシヤスな決定を行なった.<BR>以上の結果は, 集団討議状況には責任の拡散のメカニズムが存在し, リスキー・シフト現象はそのメカニズムによっておこることを示唆している.
著者
橋口 捷久
出版者
奈良大学
雑誌
奈良大学紀要 (ISSN:03892204)
巻号頁・発行日
no.20, pp.p203-223, 1992-03

本研究は、リーダーシップPM理論に基づくリーダーシップトレーニングの効果を林の数量化理論第HI類によって分析検討する。三隅とその共同研究者たちは、30年来、リーダーシップPM理論の実験的研究と実証的研究を精力的に実施してきた(三隅,1984)。リーダーシップPM理論では、リーダーシップ行動を集団の目標達成行動(Performance)と、集団維持行動(Maintenance)とに分け、それらの行動水準で、リーダーをPM,M,P,pmの4つのタイプに分類する。そして、これらの4タイプのリーダーシップの効果性は、フォロワーのモラールや欠勤、退職、事故、災害などさまざまな外的変数で、PM,M,P,pmタイプの順で望ましいことが明らかにされてきた。
著者
三隅 二不二 ハフシ モハメッド 米谷 淳 橋口 捷久
出版者
奈良大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1990

災害時、もしくは災害警戒期における人々の対応や態度を社会的なネットワ-クの観点から分析することが本研究の課題である。昭和64年には、スモ-ルワ-ルド・メソッドというネットワ-ク調査手法で焼津市を予備的に実験調査することによって、市役所・消防署などの防災機関と一般市民との間に潜在するネットワ-クを実験調査した。その結果、防災関係者と一般市民との間には、平均2〜3ステップ程度の連鎖のリンクでもって双方を連結させてやることが可能であろうことや、防災→市民ル-トよりも、市民→防災ル-トの方が連鎖が完成しやすことなどを明らかにした。平成1年度には、伊東市で生じた海底噴火に対する住民の災害時の行動や態度と日常のネットワ-クについてヒアリング・郵送調査をもって検討した結果、ネットワ-クの密な地区と疎な地区とでは、防災訓練への参加度や防災意識の高低などが、密な地区のほうが疎な地区よりも高い傾向があることが見いだされた。本年度は、再び伊東市の自主防災組織のリ-ダ-や市役所・消防などの防災関係機関、特にガス・電気・電話等のライフライン組織の責任者などに、おもにアンケ-トの結果を評価してもらうヒアリングを実施するともに、様々な機関が公式・非公式に、海底噴火当時の対応を記録した資料などを収集・分析した。その結果、災害時情報を、時期別・地区別・ネットワ-クの質別(近隣・親類・役所関係者・町内会関係者・自分の仕事関係者など7項目)分析した結果、地域防災上の相談のような部分的・短期型の情報の場合は、近隣・仕事関係ネットワ-クが利用される割合が高いのに対して、観光が伊東市に及ぼす影響といった全体的・長期的情報の場合は、親類関係ネットワ-クが利用されていた。また、災害時に流れた様々な噂を分析したところ、噂の内容には、「〜が地割れしている・〜の人々が避難した」といった地域密着情報の場合は、近隣ネットワ-クが、「富士山が噴火する・津波がくる」といったマスコミ報道の反復的な情報の場合は、親類・近隣を中心として不特定なル-トが利用され、「魚が異常な行動や大漁だった」という特殊な情報な場合は、魚業関係者のル-トが利用されるという傾向などがあった。