著者
高橋 由依 隈元 庸夫 世古 俊明 三浦 紗世 工藤 夢子 松田 由衣 永井 孝尚 橘田 岳也 大内 みふか 篠原 信雄
出版者
日本理学療法士学会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11682, (Released:2020-05-20)
参考文献数
36

【目的】本研究の目的は,腹圧上昇肢位が骨盤底筋と体幹・下肢筋群の共同収縮に及ぼす影響を検討することである。【方法】若年未経産婦15 名(平均年齢25.5 ± 2.5 歳)を対象とし,肢位要因(背臥位,立位,中腰位,中腰位で重量物を挙上した肢位(重錘挙上位))と課題要因(安静時,骨盤底筋収縮時)の2 要因での腟圧値と筋活動量(腹直筋,外・内腹斜筋,多裂筋,大殿筋,股内転筋)の比較と,各肢位間で骨盤底筋収縮時における被験筋筋活動増加率について比較検討した。【結果】課題要因では骨盤底筋収縮時に腟圧値と各筋活動量が有意に高値を示し,肢位要因では中腰位と重錘挙上位で腟圧値と各筋活動量が有意に高値を示した。筋活動増加率は内腹斜筋が背臥位,立位,中腰位で他筋よりも有意に高値を示した。【結論】内腹斜筋は他筋と比較して,中腰位,背臥位,立位において骨盤底筋との共同収縮筋としての活動が増加することが示唆された。
著者
吉村 直樹 橘田 岳也 嘉手川 豪心 宮里 実 清水 孝洋
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.155, no.1, pp.4-9, 2020
被引用文献数
4

<p>膀胱と尿道からなる下部尿路は蓄尿と尿排出の二つの相反する機能を司り,その機能は,末梢神経だけでなく中枢神経路を介して複雑にコントロールされている.まず,蓄尿時の調節は,主に脊髄レベルの反射によって制御され,交感神経(下腹神経),体性神経(陰部神経)の興奮によって膀胱の弛緩と尿道の収縮が引き起こされる.そして,尿排出時には,脊髄から脳幹の橋排尿中枢を経由する反射経路が活性化され,副交感神経(骨盤神経)の興奮によって排尿が起こる.そして,これらの末梢神経の働きは,脊髄より上位の中枢神経によって複雑に制御され,随意のコントロールが可能となる.そして中枢での神経伝達物質としてドパミン,セロトニン,ノルエピネフリン,GABA,グルタミン酸などが排尿のコントロールに関与しており,末梢だけでなく,中枢神経路の変性疾患や外傷による障害および薬物投与が,頻尿,尿失禁,尿排出力低下などの下部尿路機能障害を引き起こす.</p>