著者
櫛引 祐希子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.31-46, 2009

エズイは中世の中央語として<対象を厭わしく感じる程度の恐怖感>を表していたが、各地に伝播して意味変化を起こした。関東に伝播したエズイは意味変化を重ね、関東で新しく生まれた意味が東北に伝播して二次的な意味変化を起こした。一方、西日本の各地域に伝播したエズイは個々の地域で独自の意味変化を起こした。このように中央語のエズイは関東を挟んだ東西の地域に伝播した結果、東では関東と東北で段階的な意味変化を遂げ、西では各地域で個別的な意味変化を遂げた。エズイが起こした意味変化の東西差は、東日本では関東が東北に対して求心力を持っていたこと、西日本では中央を除くと関東のような求心力を持った地域がなく複数の地域が拮抗状態にあったことを示唆する。
著者
櫛引 祐希子
出版者
日本語学会
雑誌
日本語の研究 (ISSN:13495119)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.31-46, 2009-04-01 (Released:2017-07-28)

エズイは中世の中央語として<対象を厭わしく感じる程度の恐怖感>を表していたが、各地に伝播して意味変化を起こした。関東に伝播したエズイは意味変化を重ね、関東で新しく生まれた意味が東北に伝播して二次的な意味変化を起こした。一方、西日本の各地域に伝播したエズイは個々の地域で独自の意味変化を起こした。このように中央語のエズイは関東を挟んだ東西の地域に伝播した結果、東では関東と東北で段階的な意味変化を遂げ、西では各地域で個別的な意味変化を遂げた。エズイが起こした意味変化の東西差は、東日本では関東が東北に対して求心力を持っていたこと、西日本では中央を除くと関東のような求心力を持った地域がなく複数の地域が拮抗状態にあったことを示唆する。