著者
臼井 智美
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要 第IV部門 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.59, no.2, pp.73-91, 2011-02-28

本稿では,公立小・中学校で外国人児童生徒の指導に携わる教員に必要とされる力の中身とその力の形成過程を明らかにした。「外国人」の指導ゆえに「日本人」の指導に必要とされる力と大きく異なるわけではない。「外国人」の指導ゆえに特に必要となる力として,日本語指導力,異文化理解力,外国語の語学力などが挙げられるが,むしろ教員に必要とされる力の基盤となるのは,「教員として一般に求められる力」(教科指導力,メンタルサポート力,学級経営力,生徒指導力など)や,他者と協力していくための「情報収集・ネットワーク力」である。これらの力の形成に要する時間は,学級担任経験や教員をサポートする環境によって左右される。The purpose of this study is to clarify contents of teachers' abilities needed for teaching foreign pupils, and to clarify processes to cultivate these abilities. The abilities which are needed for teaching foreign pupils are little different from which needed for teaching Japanese pupils, that consist of three parts. The fundamental abilities are "abilities required as teachers generally", for example abilities for course instruction, psychological care, class management, and student guidance. "New knowledge and skills" needed for Japanese language education, multicultural tolerance, foreign language understanding. And "abilities for information-gathering and network to other persons". The time required to get these abilities depends on two main facts, the career of homeroom teacher and the environment supports teachers.
著者
臼井 智美
出版者
埼玉短期大学
雑誌
学校法人佐藤栄学園埼玉短期大学研究紀要 (ISSN:13416006)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.91-97, 2005-03-31

本稿では、1990年代以降の外国人児童生徒教育に関する諸研究の成果と課題の整理を、指導体制の整備という観点から行った。その結果、指導体制の整備とは、次の4つの要因を改善する経営戦略が実行されたときに成り立つのではないかという仮説を示した。(1)言葉が通じないことによるコミュニケーション上の困難に起因するもの、(2)日本と外国との文化的相違に起因するもの、(3)外国人児童生徒教育の担当教員の物理的・精神的孤立に起因するもの、(4)指導上の物理的条件や資源の不足に起因するもの。