著者
園田 順一 武井 美智子 高山 巌 平川 忠敏 前田 直樹 畑田 惣一郎 黒浜 翔太 野添 新一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.329-334, 2017 (Released:2017-04-03)
参考文献数
16

ACT (Acceptance and Commitment Therapy) は, 1990年代に, 米国のヘイズら (Hayes SC, et al) によって発展され, 心理療法として, 急速に世界に広がった. わが国でも次第に知られるようになった. ACTは, その精神病理として6つの構成要素を挙げ, それに治療過程を対応させている. われわれは, これに倣って森田療法で対応した. 驚いたことに, ACTと森田療法はきわめて類似している. その共通点として, ACTと森田療法は, どちらも精神病理においては, 回避行動ととらわれがみられ, 治療過程においては, 受容と目的に沿った行動を強調している. このような中で, 1920年代に生まれたわが国の森田療法の存在は, 現在, 光り輝いている.
著者
園田 順一 武井 美智子 高山 巌 平川 忠敏 前田 直樹 畑田 惣一郎 黒浜 翔太 野添 新一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.329-334, 2017

<p>ACT (Acceptance and Commitment Therapy) は, 1990年代に, 米国のヘイズら (Hayes SC, et al) によって発展され, 心理療法として, 急速に世界に広がった. わが国でも次第に知られるようになった. ACTは, その精神病理として6つの構成要素を挙げ, それに治療過程を対応させている. われわれは, これに倣って森田療法で対応した. 驚いたことに, ACTと森田療法はきわめて類似している. その共通点として, ACTと森田療法は, どちらも精神病理においては, 回避行動ととらわれがみられ, 治療過程においては, 受容と目的に沿った行動を強調している. このような中で, 1920年代に生まれたわが国の森田療法の存在は, 現在, 光り輝いている.</p>
著者
増田 彰則 山中 隆夫 武井 美智子 平川 忠敏 志村 正子 古賀 靖之 鄭 忠和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.903-909, 2004-12-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
9
被引用文献数
1

子どもからみた家族機能が, 心身症の発症, 学校での適応, 思春期の精神面や生きる喜びに与える影響について検討した. その結果, 家族機能不良群は, 心身症の発症の相対危険度が良好群に比べ2倍であった. 小学, 中学時代にいじめを受けた者は2倍, しばしば学校を休んだ者が3倍高かった. 思春期になると一入こもるようになった, 他人の視線が気になる, 自己主張ができない, 人間関係をうまくつくれないと答えた者が約2倍高かった. さらに, 人を信用できない者は約5倍, 誰も相談相手がいない者は良好群に比べ相対危険度が3倍高く, 自分が必要とされていない, 生きる喜びがないと答えた者も約4倍高かった. 家族機能は, 心身症の発症のみならず, 学校適応や思春期の精神面, 生きる喜びにも影響を及ぼしていることがわかった.
著者
武井 美智子
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.12, pp.911-918, 2004
参考文献数
24
被引用文献数
1

摂食障害(ED)の遷延化要因として, 以下の2点について検討した. (1)Egna Minnenav Barndoms Uoofostran(EMBU)を用いて, 摂食障害患者群(67例)と対照群(82例)に, 15歳時を回顧して養育体験を調査し, 比較検討した. ED群で両親とも, 「拒絶」は有意に高く, 「情緒的温かみ」は有意に低かった. また父親は「過保護」が「成績重視」, 「過干渉」ともに有意に低く, 母親は「ひいき」が有意に高かった. このことは, 親子間の情緒交流が不適切になり, 子どもが情緒抑圧的となって, 発病後の心理, 行動, 社会的発達が阻害され, 遷延化する可能性を示唆していた. (2)当科を受診した131例中, 病歴10年以上の遷延例は31例であった. 31例のサブタイプ別のBMI平均値はAN-R12.7, AN-BP13.4と低く, この2群では持続的に, またBN-P群では嘔吐などにより間歓的に, 半飢餓状態が惹起されていると考えられた. これら3群が遷延例の80%以上を占めており, これは, 半飢餓状態が神経内分泌との交互作用を介して, 遷延化因子の1つであることを示唆している.
著者
増田 彰則 平川 忠敏 山中 隆夫 志村 正子 武井 美智子 古賀 靖之 鄭 忠和
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.44, no.5, pp.369-378, 2004
参考文献数
23
被引用文献数
3

思春期・青年期の心身症およびその周辺疾患の発症に及ぼす家族の健康,養育環境,養育方法,家族機能と被暴力体験の影響について調査した.対象は,心療内科を受診した患者195名(平均年齢21歳)と健常大学生415名(平均年齢20歳)である.調査は,われわれが作成した自己記入式質問紙を用いて実施し,ロジスティック解析にて検討した.その結果,病気発症に有意な影響を及ぼす因子として,「親から身体的暴力を受けた」,「父親から母親に身体的暴力があった」,「家庭は安全な場所ではなかった」,「甘やかされて育った」,「片親が死亡した」,「幼小児期に可愛がられた記憶がない」の6項目が抽出された.これらの因子を2項目もっている例では,まったくもっていない例に比べてオッズ比で7.9倍,3項目以上もっている例では21.1倍の病気発症の危険因子となった.以上より,心身症およびその周辺疾患の治療では,家庭環境や家族機能について十分な配慮とアプローチが必要である.また,病気発症の予防に健全な家庭環境と良好な家族機能の回復が重要であることがわかった.