著者
岡安 孝弘 高山 巌
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.410-421, 2000-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
27
被引用文献数
9 17

本研究では, いじめ防止対策およびいじめ被害者・加害者の精神的健康を改善する方法を考案する上での基礎資料を得るために, 中学生のいじめ被害・加害経験と心理的ストレスとの関係について検討した。6,892名の中学生に対するいじめ被害・加害経験の頻度, ストレス症状および学校ストレッサーに関する調査結果から,(a) 中学生のいじめへの関わり方は, 無視・悪口被害群, 全般的被害群, 無視・悪口加害群, 全般的加害群, 非関与群の5つのグループに類型化できること,(b) 全般的被害群にはストレス症状が全般的に高い者が多く, 関係性攻撃の被害者も特に抑うつ・不安傾向が高いこと, また両者とも学業に関するストレッサーの経験頻度が高く, それを嫌悪的と感じている者が多いこと,(c) 全般的加害群には不機嫌・怒りや無気力のレベルが高い者が多く, さらに先生との関係が良好でない者が多いこと, などが明らかにされた。最後に, いじめ被害者および加害者への心のケアのあり方といじめの実態を査定する上での問題点について論議した。
著者
園田 順一 武井 美智子 高山 巌 平川 忠敏 前田 直樹 畑田 惣一郎 黒浜 翔太 野添 新一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.329-334, 2017 (Released:2017-04-03)
参考文献数
16

ACT (Acceptance and Commitment Therapy) は, 1990年代に, 米国のヘイズら (Hayes SC, et al) によって発展され, 心理療法として, 急速に世界に広がった. わが国でも次第に知られるようになった. ACTは, その精神病理として6つの構成要素を挙げ, それに治療過程を対応させている. われわれは, これに倣って森田療法で対応した. 驚いたことに, ACTと森田療法はきわめて類似している. その共通点として, ACTと森田療法は, どちらも精神病理においては, 回避行動ととらわれがみられ, 治療過程においては, 受容と目的に沿った行動を強調している. このような中で, 1920年代に生まれたわが国の森田療法の存在は, 現在, 光り輝いている.
著者
相川 充 佐藤 正二 佐藤 容子 高山 巌
出版者
日本社会心理学会
雑誌
社会心理学研究 (ISSN:09161503)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.44-55, 1993
被引用文献数
4

The purpose of the present study was to examine the relationship between the degree of self-reported loneliness and the conversational skills observed in the interaction between strangers. The subjects were 48 university students who obtained high, medium, or low scores on the Japanese version of the UCLA Loneliness Scale. Each of these three groups included 8 males and 8 females students. The interpersonal interactions between the subjects and the confederate of the same sex were recorded by video cameras. These records were analyzed quantitatively by the raters who were blind to the subject's state of loneliness. Other raters made the qualitative analysis of the subject's conversational skills. The subjects also rated themselves and the confederate during the conversation. The results revealed some unique characteristics of highly lonely students in terms of quality but not in terms of quantity. The highly lonely students tended to lack the social skills indispensable to establish intimate interpersonal relationships. They also tended to negatively rate both themselves and the other party following interpersonal interactions.
著者
佐藤 正二 佐藤 容子 高山 巌
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.71-83, 1998
被引用文献数
1

本研究は、3名の引っ込み思案幼児の社会的スキルの長期的維持を出現させるために、(1)社会的スキル知識を促進する訓練室でのコーチング、(2)社会的スキル実行を促す自由遊び場面でのコーチング、(3)トレーナーによる構造化された遊び場面の設定、(4)訓練場面への仲間の参加とを組み合わせた社会的スキル訓練(SST)を構成した。15セッションからなるSSTを受けた訓練対象児は、訓練終了後、仲間に対する働きかけ、仲間からの働きかけ、協調的行動を増加させ、社会的孤立行動を減少させた。さらに、一年後のフォローアップ査定では、3名中2名の訓練対象児が、訓練効果を維持していることが分かった。これら2名の訓練対象児のポジティブな行動変容は、担任教師による社会的行動評定得点にも反映されており、本研究で実施されたSSTが長期的維持を効果的に促進していたことが実証された。
著者
相川 裕子 土屋 利紀 原田 一道 高山 巌
出版者
一般社団法人 日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.1-11, 1996-03-31 (Released:2019-04-06)

通院中の緑内障,高眼圧症患者の心理的,身体的特徴を面接,タイプA行動質問紙法で捉えた。その結果,18人の緑内障患者のタイプA行動の平均得点は22人の健常者の平均得点に比べて有意に高かった。緑内障患者は心理的緊張が強く,身体的にも過緊張状態がみられた。そこで,心身の緊張を緩和させるために,ATを中心とする心理的アプローチを試み,症状がどのように変化したか検討した。ATを習得した患者全員の症状が緩和し,ATの実施によって,眼圧不安定だった緑内障,高眼圧患者8例中6例において,統計的に有意な眼圧下降が認められた。これらの結果から,緑内障患者は,交感神経系が充進状態にあることが推測され,ATを中心とした心理的アプローチが,一部の患者の症状緩和に有効であることが確かめられた。
著者
園田 順一 武井 美智子 高山 巌 平川 忠敏 前田 直樹 畑田 惣一郎 黒浜 翔太 野添 新一
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.329-334, 2017

<p>ACT (Acceptance and Commitment Therapy) は, 1990年代に, 米国のヘイズら (Hayes SC, et al) によって発展され, 心理療法として, 急速に世界に広がった. わが国でも次第に知られるようになった. ACTは, その精神病理として6つの構成要素を挙げ, それに治療過程を対応させている. われわれは, これに倣って森田療法で対応した. 驚いたことに, ACTと森田療法はきわめて類似している. その共通点として, ACTと森田療法は, どちらも精神病理においては, 回避行動ととらわれがみられ, 治療過程においては, 受容と目的に沿った行動を強調している. このような中で, 1920年代に生まれたわが国の森田療法の存在は, 現在, 光り輝いている.</p>
著者
園田 順一 高山 巌 前田 直樹 田中 陽子 栗山 和広
出版者
九州保健福祉大学
雑誌
九州保健福祉大学研究紀要 (ISSN:13455451)
巻号頁・発行日
no.5, pp.77-84, 2004-03

Recently, school refusal and social withdrawal have become huge social issue in Japan. This phenomenon is specific for Japanese society, which is considered to be deeply associated with education and child discipline. The present study examined the process of the development of school refusal and social withdrawal. Also we suggested the treatments and prevention, focusing particularly on child discipline at home.