著者
武内 次夫 鈴木 正巳
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.14, no.13, pp.100R-106R, 1965-12-05 (Released:2009-06-30)
参考文献数
131

1963年および1964年に発表された文献のうち,そのおもなものを取り上げ,この分野の進歩国概要を説明する.
著者
鈴木 正己 武内 次夫
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.179-181, 1960
被引用文献数
2

吸光光度法によるウラン中のコバルトの定量方法として,R.W.Baneはコバルト・チオシアン酸錯塩とテトラフェニルアルソニウムクロライドとの反応生成物をクロロホルムで抽出する方法を応用し,J.M.Chiltonはコバルト,ニッケルおよび銅の三者をジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムで定量している.前者の方法は微量物の定量には感度が十分でないし,また特殊の試薬を用いるのが欠点である.後者の方法では三元素の量的関係が重要であり,またコバルトの感度がニッケルおよび銅にくらべて低いため,コバルトの量が少ないと定量が困難である.<BR>ニトロソR塩はコバルトの定量試薬としてもっとも感度のよいもので,微量コバルトの定量にしばしば用いられているが,この種の方法により金属ウラン中の微量コバルトの定量をおこなった報告がみられないので,著者らはニトロソR塩を用いる核燃料金属ウラン中の微量コバルトの定量方法を研究した.<BR>ウラン中の微量コバルトを定量する場合,多量のウラン共存のためおよびウラン中の共存不純物たとえば鉄などのため直接この試薬を利用することはうまくいかなかった.したがってウランからコバルトを有機錯化合物として適当な有機溶媒で抽出し,分離濃縮してニトロソR塩で微量コバルトの定量をおこなった.分離濃縮の手段としてジチゾン,ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどを用いる抽出が考えられるが,試薬の調製,抽出の際のpH範囲などを考慮してジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムが好適とおもわれた.したがって,この実験ではコバルトをジエチルジチオカルバミン酸錯化合物として分離したのち,抽出液中のコバルトをニトロソR錯化合物として定量する方法を検討した.その結果試料1gを使用したとき0.5ppm程度のコバルトの定量ができるようになった.
著者
武内 次夫 角五 正弘
出版者
日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.68, no.6, pp.1066-1070, 1965
被引用文献数
2

市販ピペッターを用いる熱分解ガスクロマトグラフィーによる合成ゴムの迅速な定性,定量分析に関する研究を行なった。合成ゴムとして, ブチルゴム(IIR),スチレン- ブタジエンゴム(SBR),クロロプレン(CR),アクリロニトリル- ブタジエンゴム(NBR),ブタジエンゴム(BR)を用いた。IIR,SBRを500~700℃ の温度でキャリアーガスの窒素を流しながら熱分解し,再現性について検討した。その結果から,500℃ でIIR-BR(50%IIR)を熱分解し50±4%,700℃ でSBR-BR(50%SBR)を熱分解して50±8%の精度で定量可能であった。つづいてピペッターの最高温度部分に石英ウールを堅くつめて,700℃ でSBR-BRの熱分解を行ない,50%SBRを含む混合物が50±5%で定量できた。そのほか,CR,NBRの500℃ における熱分解生成物をSBRと同様のカラム条件で分析したが,低沸点物が主でピークの分離が悪く,これらの条件での定量は困難であった。
著者
武内 次夫 深沢 力 小田 昭午
出版者
社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.86-92, 1961

バネ鋼(SUP6)製造の際その鋼塊に生ずる砂カミ(鋼塊表面および表面近くに生ずる非金属成分)の組成を明らかにするため,化学分析,X線回折,螢光X線分析など行ない,かつバネ鋼砂カミの生成原因について検討した。<BR>バネ鋼砂カミ成分は石英が極めて多く, その他クリストバライト, ムライトなどからなり造塊用耐火物の組成に似ていた。従来は鋼塊製造の際石英の生成は起りえないとし,このような場合砂カミは耐火物から来たものと判断されていた。しかしながら著者らの研究の結果,砂カミ成分中には耐火物に含まれていないマンガン,ストロンチウムなども含まれており,また石英:クリストバライトの比を考えると耐火物にくらべ極めて石英態ケイ酸分が多く,平均80:20で,最も多い場には92:8にも達した。一方,同じ方法により製造した炭素鋼に生じる砂カミは脱酸剤から生成したことが分析の結果明らかになった。<BR>以上の結果従来砂カミは鋼塊製造時耐火物その他から来たものと考えられていた見解に対し,砂カミ成分は大部分脱酸剤(フェロシリコンとシリコマンガンを用いた)の酸化生成物に由来するものと判断する。もしこの見解が正しいとすると脱酸過程において脱酸剤として用いたフェロシリコン,シリコマンガンなどから石英が生成するという新しい実験結果がえられる。
著者
吉森 孝良 山田 次彦 本郷 勉 武内 次夫
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.65, no.11, pp.1808-1811, 1962-11-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8

金属ウラン中の1ppm以下の微量の銀を陽極溶出電量分析法によって定量した。はじめに銀の電量分析法において,電解液の容積とそのpH,あるいは電解液中に混入したタリウムやウランの影響について検討した。つぎにこの結果を実際の金属ウランの分析に応用した。すなわち銀含量が0.4ppm以上の試料では,ウランをクエン酸錯塩としてその影響をのぞくことによって,とくに銀をウランから分離することなく定量することができた。また銀量が0.4ppm以下の試料に対しては, タリウムとともに銀をヨウ化物として沈殿させ, ウランから分離して定量し, 満足すべき結果を得ることができた。